川崎エッセイ 吹田もののけ紀行 その2  妖怪寝瓦     HOME

 

 吹田市役所の北方、出口町にて、こんもりとした丘を発見。なにやら密度の濃いものがありそうな雰囲気がする。いわゆる「もののけ」の気配である。

 狭い小道は坂道で、帝釈天参道と石柱に刻まれている。やがて右手にそれらしき建物を発見するが、お寺の横に出たようで、柵をまたいで中に進入。濃い気配を感じたのは、積み重ねられていた古瓦だった。

 これが噂に聞く瓦の妖怪「寝瓦」で、魔よけの瓦(鬼瓦とか)ほどには形が明快ではない。つまり普通の瓦の中にこっそり混ざっている妖怪なのだ。別に悪事を働くわけではなく、ただ単に惰眠をむさぼるだけの存在だ。一度、瓦の中に住み着くと、抜けられないようだ。屋根を吹き替えられたりすると、瓦と共に姿を消すが、捨てないで積み上げられたままなら、まだ惰眠はできるようだ。

 昔なら、古い瓦は粉々にされ、庭のぬかるみなどで第二の人生を送ったものだ。寝瓦も縁の下とかに埋められて、永遠の眠りについていたようだ。

 惰眠をむさぼれるのは、この現実の社会では、最大の贅沢かもしれない。「働かざる者食うべからず」で、妖怪にならなければ、できないキャラクタだろう。  妖怪寝瓦がいる家は栄えるとのジンクスがあるものの、マンションでは当てはまらないのが、この時代の恨みだ。


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