小説 川崎サイト

 

ピラミッド巨大地下空間


「ピラミッドの地下に巨大な地下室があるのをご存じですか」
「え、何ですか。いきなり」
「大事なものはピラミッドの中にあります。そこではなく、もっと底です。そこに地下へと続くトンネルがありまして、これは知られています。だから、地下室があることは分かっているのですが、それはほんの一層目で、さらにその下へ続いておりまして、横への拡がりはピラミッドの規模を越えています」
「何ですかそれは」
「ピラミッドを作った本当の理由でしょうねえ。だから王の墓じゃない」
「天体観測をしていたとか、また、しかりと北を向いているのが凄いとか」
「それは序の口です」
「じゃ、ピラミッドはどうしてできたのですか」
「宇宙人です」
「ああ、宇宙人が手伝っている絵を見たことがあります。円盤が石を吊り上げて、積み立てて行く絵が」
「そんなものは、どうでもいいのです。上物はね」
「上じゃなく、下がメインですか」
「そうです。これは一部の人は知っていますが、これを言うと偉いことになるし、誤解を招くので、黙っています。しかし、その全貌は分かっているのです。まあ、地下望遠鏡のようなもので地質の変化が分かります」
「じゃ、何ですか、真の目的は。円盤の基地ですか。そこに巨大な母船が埋まっていたとか」
「宇宙人はそんな乗り物では飛んできません」
「ほう」
「つまり、ピラミッドの目的は転送装置です」
「転送」
「ワープです。そうでないと、遠いところから飛んでこられません」
「瞬間移動ですか」
「その装置があるのです」
「ピラミッドを目印に空から円盤が降りてくるわけではないのですね」
「そうです」
「じゃ、今も来ているのかも」
「その転送装置は壊れています」
「はあ」
「だから、機能していないので、害もない」
「はい。しかし」
「何ですか」
「その転送装置をピラミッドの下に置いたり、作ったりした宇宙人は、どうして地球まで飛んできたのでしょうか」
「え」
「だから、転送装置はまだない状態で来たのでしょ」
「良く気が付きましたねえ」
「そうでしょ」
「転送に失敗して、エジプトに落ちたのです」
「はあ」
「だから、故郷へ戻るために、ピラミッドを作らせたのです。つまり、転送装置をね」
「その装置、メカニズムが凄いはずですが」
「いや、石組みだけでできています。いわば構造です。まあ、巨大な立体魔方陣のようなものでしょう」
「じゃ転送装置とは、石組みでできているのですね」
「そうです。最近使われていないので、崩れたのでしょう」
「相変わらず」
「何ですか」
「そんな話が好きですねえ」
「うん」
 
   了

  


2016年3月11日

小説 川崎サイト