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白紙のページ
浅田は朝、目が覚めたとき、新鮮な一ページをもらったような気がした。一日というページだが何ページというわけではない。とりあえず、今日一日は新鮮な気がする。
何かさっぱりとしたような。
それはよく寝たためかもしれないが、それよりも、今日の予定とかがないためだろう。
今日しないといけないものがない。今日こそやりたいと思うこともないが。
だがら予定は白紙。おそらく、いつもと同じような一日になるはず。特に何かを仕掛けなければ。
何かがあるとき、目覚めたときからそれを考える。それをしないといけない場合でも今日でなくてもいいのなら、先延ばしにする。あまり大事なことではないので、急ぐ必要はないが、いずれやらないと面倒なことになる。そういうのはあるものの、今朝の真新しさにシミをつけない。
それは、昨日、やりたかったことを果たしたためだろう。これもいつでもできるのだが、タイミングよかったので実行した。これで気がかりが減った。大事なことではなく、やりたいこと。それを果たしたので、その翌朝である今日、気分がいいのかもしれない。
これは本当にやらなければいけない用事ではなく、遊びに近い。しかし、そういうものを楽しみに生きているようなもの。
面倒な用事、どうしてもやらないといけない用事でも、それをこなすのが楽しいのならいいが、殆どは嫌仕事。
この嫌仕事を果たした後の方が気持ちがよかったでりする。楽しいことをやった後よりも。
しかし、昨日は楽しいことを果たしたので気持ちがいい。楽しいことだが、少ししんどかったためもある。だからあまり楽しめなかった。
苦あらば楽ありで、少し苦くないと甘味が目立たない。
だが人は甘口を好まないこともある。
浅田はそれで、朝から出掛けたのだが、これは日課。そのへんをぶらっと歩くことから一日が始まる。いい身分だ。寝起き早々散歩ができるのだから。そして仕事の前の散歩ではない。
内職が本業になったのだが、その内職、最近減ってしまい、暇で暇で仕方がない。それで、白紙状態の一日もある。
今朝はそういう日に当たる。それで用事がないので、気持ちがいいのかもしれない。今日は何もしなくてもいいと。
そして季候もよく、朝の散歩も気持ちがよかったが少し暑いようで、汗ばんできた。
部屋に戻ると、メールが届いており、内職の催促。
期日が迫っている。忘れていたわけではないが、やりたくないので、考えないようにしていただけ。
当然、これはやらないとまずいことになると思い、急いでやり始めた。
その内職をやっていると、汗がさらに出てきた。
新鮮な白紙のページが一気に汗だくのページに変わった。
了
2021年4月23日