小説 川崎サイト

 

言い訳のお告げ


 今日は出掛ける日で、作田は外で作業しないといけない。これは毎日出ていたこともある。しかし急ぎの作業ではないので、サボりがち。
 毎日だったのだが週に一度は休むようになり、二日になる。そのうち隔日になったり、続けて休むこともあった。また続けて行くこともあるが、計算すれば休みの方が多くなっている。
 そして、今朝、作田は朝の日課をこなしているとき、調子の悪さに気付く。体調だろうか。風邪の引きかけのような感じだろう。さらに右の手の平に違和感がある。そこを酷使するようなことはしていない。
 また、そんなところに違和感が出るようなことは今まではなかった。痛いわけではないが、強く押せない。だから手をついたとき、ちょとした違和感。
 さらに晴れているが妙な天気で、風が強い。冬場の普通の寒さだが、風さえなければいい日和だろう。
 作田はこれが気に入らない。昨日は雨、夜も降っていたので、今日は休んでもいいと思っていたのだが、晴れたのだ。だから気に入らない。
 それと、出掛けるのはいいのだが、戻ってから一寸した用事がある。これはいい用事で、楽しいことだ。時間的には問題はないが、そんな日は出たくない。体力温存というわけではないが。
 何かの知らせ。今日は出ない方がいいという合図。それが風邪っぽい感じや手の平の違和感。それと歯も痛くなっている。まだ足りないだろうか。作田は探した。
 一つか二つあれば充分。今日は出掛けない方がいいと知らせてくれているのだ。お告げ。
 では作田の気持ちはどうだろう。できれば出た方がいい。その作業はプレッシャーが掛かるのだが、簡単なことを選んでやれば、問題はないが、進展度が低くなる。まあ、出ただけでも充分で、昨日も休んだので、今日は出た方がいい。昨日は雨なので、これは休んでもいい。サボったわけではない。
 しかし、気乗りがしない。やるべきだ。行くべきだ。サボるべきではない、ということで行くことになる。その方が分かりやすい。そして戻ってきたとき、それなりに達成感があり、充実する。
 それで作田は迷ったのだが、ここで出掛けると、お告げの意味がなくなる。折角、止めに入ったのに、それを無視することになる。
 だが、それはただの言い訳に近いのだが、急に手の平に違和感が出たなどは偶然だろう。
 その偶然性が効いているのだ。お告げ、警告は偶然に来る。今までとは違うものが偶然ポンと来る。知らせているのだ。
 そういうとき、出掛けると、大変な目に遭うかもしれない。もう既に作田は暗示に掛かっているのだが、それを望んでいるのだろう。今日は休みたいと。
 
   了



2022年1月27日

 

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