小説 川崎サイト

 

分散


 いつもこれといったことのない日々を過ごしている竹中だが、その日はネタが多い。こういうのは均して来た方がいい。一つでいいのだ。これは、というようなネタは。
 ただ、ネタというには怖いような心配事が起こることもあり、それが続いてることもある。
 ネタは作ったものだ。人が。しかしタネとなると種。これも手品の種明かしのように、人が作ったものもあるが、そうではないものもある。別に超常現象ではなく、自然に発生したようなもの、作る気がなくても、出来てしまったもの。何かの偶然で。
 そういう話ではなく、竹中は暇なので、少しだけ刺激物が欲しい。唐辛子をなめればいいという話ではなく、ちょっとした良いことや、ちょっとテンションが上がること。
 そういうのがその日、重なった。何個かある。一つ一つ味わいたいところだが、複数ある。だから忙しい。
 その中にはただの情報もある。待っていたもの、期待していたものが出とかの話。これはいずれ出てくるだろうとは予測していたが、既に出ていた。そういう情報を得た。それだけでも充分に楽しい。
 竹中が絡んだこと、関係したことで、良い事が起こったりすればもっと喜びは大きいだろう。そういうのは滅多にないし、何かをやらなければ、そういう褒美も来ない。
 それよりも、刺激的なことが重なったので、困っている。多すぎるのだ。これだけ纏まってくると、次に来る間隔が長くなるだろう。
 そのため、ポツンポツンと来るのがいい。週に一度でも多い方で、二三ヶ月に一つぐらい、ちょっとしたことが入る方がいい。
 また、良いことが続くと、とびっきり悪いことがドカンと来そうなので、怖い。今までもそういうことがよくあり、喜んでいる場合ではなかったりする。
 当然良いことと同時に悪いことも来たとき、どっちをやればいいのか、迷ったりする。良いこと、楽しいことを楽しめないのは当然で、悪いことの方が勝つ。
 さて、今回来た良いことはどうだろう。よく考えるとネタとしては小さい。これなら数個来ても問題はないだろう。
 しかし、分散してほしいものだ。
 
   了


2022年5月5日

 

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