小説 川崎サイト

 

日々の過程

 
 日々、同じようなことの繰り返しのように見えても、日により、色々と違いがある。
 竹田はそれを感じた。しかし、改めていうほどのことではない。これは観察しなくても分かるのだが、一寸それなりに観察を強くすると、かなりの差が日々の中であることが分かる。
 分かっても仕方がないことなのだが、この変化は何処から来るのだろうかと、そちらを考えてみた。暇なのだ。
 些細な日常、何の変哲もない日々の連続。その日の中でやっていることは前日と殆ど変わらない。だから、その意味での変化には乏しいが、細かく見ていくと、同じにならないのだから、不思議。
 ただ、これを不思議と感じる方が不思議かもしれない。大きな変化がないのだから、変わり映えしないことの連続なので。
 先ずは天気が違う。昨日と同じような天気でも、今度は気分が違う。天気だけで気分が変わるわけではないし、また天気が違っていても気分は同じだったりすることもある。
 ここまで細かく見ていくと入り込みすぎだろう。当然気分は体調によっても違う。
 やっていることは昨日と同じ。しかし、いつも通る道が工事中で回り道をしないといけないとなると、これは変化だ。外部から変化。
 竹田が変化したわけではない。変化させられた。それで、普段あまり通らない道筋を行く。これだけでも風景の変化。風景が変化しているわけではなく、いつものと違うものが見える。
 だから、変化を期待して、敢えて道順を変えなくてもいいのだ。また、竹田はいつも通る道順の変化などは望んでいない。ここはいつもと同じ風景でいい。といっても、昨日と同じ風景になるとは限らない。
 一寸考え事をしながらの移動では、風景など見ていなかったりする。
 その日はいつもの駐輪場が工事中で入れない。他にも駐輪場があるので、そちらから入ったのだが、知らないところではないし、たまにそこを利用していたこともある。行きつけの店屋がそこ駐輪場から近いためだ。そこへ行かなくなったのは、その店屋がなくなったから。
 それで、久しぶりに、よく止めていた駐輪場へ行ったのだが、勝手が違う。止めるところが変わっているし、駐輪スペースでなくても適当なところに自転車を止めることが出来た。そういういい加減な止め方が出来ないようになっていた。
 それで、用事のあるところまで行ったのだが、途中の景色が違う。その頃あった建物や店などががらりと変わっていたり、残っていてもシャッターが下りていたりする。いつもの駐輪場から百メートルも離れていない場所。入り込まなかったので、分からなかった。
 さらに歩道に人工芝が敷かれていたりと、以前の印象とは違う。その先に、いつも店屋があるのだが、裏側から回り込むことになる。だが、良く考えると、正面からだ。いつもは裏側から来ていたのだ。
 その店屋、同じ店屋だ。しかし入り方が違うと見えている角度も違う。いつもなら、そんな位置からは見ないため。いつもの店屋が別の店屋だったという話ではない。
 竹田は変化を求めて、そんなことをしたわけではない。
 やっていることは同じで、結果も同じになるのだが、過程が少し違うようだ。
 
   了


2023年3月26日

 

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