小説 川崎サイト

 

プレッシャーのあとで

 
 白河は一仕事終えると、ほっとする。これはプレッシャーがかかっていることもあるし、また時間の制約も受ける。いつもなら気儘に過ごしていた時間が取られる。
 自由にならない。だが、仕事が終わると、いつもの自由な時間に戻れる。そこで大したことはやっていないのだが、気儘で気紛れなことをやってもいい時間が続く。それが大事だとは思っていないが、出来ないとなると、束縛感を感じる。手足を縛られているわけではないが。
 今回の仕事。それは難しくはなく、やっていて楽しく、充実感もあったのだから、自由な時間を楽しむよりも良かったことになる。そして何かを成しえたことにもなる。これは社会的に。
 ところが自由時間で遊んでいることは白河だけに関わることで、他に影響を与えない。白河の世界だけの話。そして人からはそれは見えない。
 これは、遊びも入っているが、ちょっとした用事も入っている。しなくても良い事が多いのだが、日課と化している。当然暮らし向きの日常事もやっているが。外での仕事があると、それもサボりがち。
 ペースを乱されるのが嫌なのだ。仕事とはいえ。
 しかし、それが終わった瞬間、気楽な気分になれる。やっと自分のペースに戻れるため。
 その翌朝は気持ちがいい。プレッシャーが取れたためだろう。しかし、外での仕事が嫌いなわけではなく、そちらをやっている方が実は楽しい。だが、自由に気儘に気紛れを起こすようなことは出来ない。仕事なので、目的がある。そこから逸れることは出来ない。
 それで、白河はある仕事を終え。その翌朝を迎えたのだが、何かスッキリとしない。いつもならやっと自分のペースに戻れた、いつもの日常に戻れた解放感が来るのだが、それほど来ない。
 自由時間と言っても凄いことをしているわけではなく、淡々としたもの。結構静かなのだ。この静けさを白河は好む。
 外部からの刺激は嫌だが、内部からの刺激ならいい。その刺激は気紛れなもので、適当。だからベースが静かでないと、これは成立しない。
 外での仕事を終えたので、当分は白河のペースで日々過ごせるのだが、この時のホッとした感じが小さくなっている。あることはあるが。
 そしてそれがおかしいと思うよりも、あまり自由がどうのとか、好き勝手に出来るとかの気分が薄らいでいるので、すっきりとした気分も出ない。
 白河はそれを考えながら、どのポイントのことをいっているのだろうと、自問した。
 それによると、特に何も思うことのない日と言うことだった。
 今回はそういう時期もあるのだろうと、消えたすっきり感のことなど忘れていた頃。じわっとそれが出てきた。プレッシャーが取れるまで日数がかかったようだ。
 しかし、白河は、いったい何処を見て、何に拘っているのかと考えると、どうでもいいことに近かった。ただの気分の変化。それだけの話なので。
 白河には白河の関がある。
 
   了


2023年3月27日

 

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