小説 川崎サイト

 

偶然必然

 
 全てが偶然か必然かという話がある。ここは必然だろうと思えることと、ここは偶然だと思うことが確かにある。また、どちらとも言えないこともある。
 偶然も、よく考えると、起こってもおかしくない偶然もある。それはあるかもしれないとは分かっていても、それがなぜ今なのかというのもある。
 普段は起こらないことが、その時に限って起こるとか。だからその時が偶然に含まれるのかもしれない。
 全てが決まっており、全てが必然的に起こると言ってしまえば身も蓋もない。その蓋をすることも必然的に決まっていたことになる。
 また、それに関して考えることも、必然だったりする。これは流れとしてはそうなるかもしれないが、偶然とはその流れの中に入って来ないもの。
 しかしその可能性が全くなければ、その偶然も起こらないのだが。
 本来起こらないことが起こる。これが偶然だが、その本来が曲者。起こるようなことではないのだが、起こってもおかしくない。
 ただ、そんなことが起こると思っていないのだろう。だから本来。大筋ではそれはないとされているだけ。ただの予想外の出来事。
 必然的に起こっていることでも、そうならないときがある。決まり事のはずなのだが、そうならない。
 では必然性がなかったことになる。必然とは必ず起こること。それが起こらなかった場合、予想外となる。結局は勝手な予想に基づいているだけなのかもしれない。
 ある流れが必然的に決まっていても、何らかの偶然との衝突で、流れが変わることもある。
 さて、その偶然来たものも、流れの中に入っていて、これも必然的かとなると、必然の本筋が危うくなる。必然には原因とかがある。因果関係だ。
 その因果の外から来たものが軌道を変えるとなると、必然性の範囲が分からなくなる。手に負えないだろう。あれはあれが原因だったとかの説明が出来なくなる。
 出来るとすれば、偶然その時、となる。ここでその偶然を取り込むことになり、必然の中に囲い込むのだろうか。
 何処までが偶然で、何処までが必然か。全てが偶然だとも言えるし、全てが必然だとも言える。
 
   了

 


2023年4月4日

 

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