小説 川崎サイト

 

運命

 
 後で考えると、それは繋がっていたというのがある。その時は気付かない。一寸した災難に遭うとかの悪いことも、一寸良い事があってもそれで終わるわけではなく、まだ過程だったりする。
 それを経た後の展開が待っている。その待っているものの先にはまだ続きがある。
 ある悪いことが起こったのだが、それを経たからこそ開けた世界もある。
 また、良い事を経たからこその世界もある。そのあとどうなったか。悪いことが去り、普通に戻っただけでも良い事だろう。良い事が起こったわけではないが、悪いことが去った。
 それは良い事に入るかもしれない。普段に比べ、良い状態になったからではない。しかし、悪い状態が普段の状態になると、以前と比べれば良いことだろう。
 普段とか普通とかには個人差があり、その範囲は曖昧だが、普段通り、普通通りの日々は安定しているのだが、これは不安定な時と比べての話。
 そういう波があるのは確かで、何もしていなくても何かが起こるもの。
 ただ、物事が起こった順番などを思い返すと、それは、そうなるように最初から出来ていたのではないかと思うことがある。
 これはあとで、その思い出を物語化するためだが、それがまたよく出来ており、出来すぎていたりすることもある。
 当然、出来の悪い物語になることもあるが、過去の流れを物語化しているのは本人で、それをやっている時期の影響を受ける。
 だから、過去の出来事の繋がりや中味まで少し編集していたり、削除したりしているのかもしれないし、また都合のいいふうに変えていたり、解釈も変えていたりする。
 しかし、そういうことをしなくても、偶然にしては出来すぎている場合、第三者的な手を感じたりする。誰だろう。この第三者とは。ここから先は神秘的で、ただただ不思議としか言いようのないことだ。
 それは魔術ではない。現実的なものの動きだ。ただ、その動きが方向を変える。本人の計画ではなく。
 これはジャジャジャジャーンの世界で、いわば運命と言われている世界。あるかないかは調べようがない。
 しかし、話の中ではよく出てくる。実際の話でも、運命的な出会いとか、運命的な出来事とか。
 だから、話の上では運命はゴロゴロ転がっていたりする。
 将来、どうなるのかという運命のことよりも。偶然起こる筋書きの妙の方が興味深い。
 
   了

 


2023年4月8日

 

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