小説 川崎サイト

 

勢い

 

 思っていたものと違ってくることがある。それは勢いのようなものと関係している。最初の頃の勢いが何処かでピークを迎えたのか、後半になると大人しくなっている。
 作田はそのことに気付いたのだが、また盛り返し、以前のようになり、さらにそれよりもさらに盛んになるだろうと期待していたのだが、下り坂のままのようで、最近はさらに下がっている。
 これはもう賞味期限が切れ、新鮮さや意外性などは、それ以上無理なところまで来ていたためかもしれない。もうやることがないのだ。
 あることはあるが、その手は使わないようだ。それで長持ちしていたのだろう。あまりやり過ぎると、やることがなくなる。やらないままだと可能性だけは残るので、まだ先があり、新たな展開が期待出来る。これは隠し球のようなものに近い。
 しかし、最近はやはり下り坂で、そういうことはもういいのだろう。ただただ長く続いているだけでも充分のようで、下手なことをするよりも、そのままの方がいいのかもしれない。
 作田はそう思うことにし、メインから外した。しかし、それに続くものがない。後継者が育っていないようなもの。
 それで、そういう期待そのものはもう諦めて、別のところで探すことにした。メイン替えだ。しかし、他の箇所でも似たようなことが起こっており、そこで勢いのあったものも、大人しくなっている。まるで連動しているような。そして同じ波を受けているような。
 これは全体がそんな風潮になっているのだろう。
 ただ、ずっと期待以上の展開を続けていたものもある。今はないが。よく考えると、ピーク時に終わっている。そのあと続けないで、最高潮のところで終わっている。だから、まだまだ期待出来たのだが、限界に達していたのだろう。
 そして長く続いているものは、限界に達し、ピークを過ぎてからも残っている。要するに下り坂なのだが、まだ続けているのだ。
 そういうタイプも作田は知っている。後半になると、もう興味もいかず、期待も消えていた。そして限界の限界に達したのか、そのあとはもうない。
 一度勢いを落とすと、二度と戻らないようで、復活することはない。だからその気配が少しでも見えると、作田は、これで終わりだと思うようになった。
 上り調子でなくても現状維持ならいいのだが、それも無理で、下りになる。勢いが落ち始める。するともう期待はできない。
 長く続くのは良いことだが、作田にとってのメインではなくなってしまう。
 世は移り変わり、同じ状態は続かないことを作田も知っているので、残念と言うしかないようだ。
 
   了

 
 


2023年8月12日

 

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