小説 川崎サイト

 

隠れる

 

 隠れ里というのはロマンを感じる。隠し里とは無理に隠しているのだが、隠れ里は隠れたように見える程度。普通の村だ。
 ただ、あまりこの村に触れない場合、村の名が上がらないので、隠し事でもしているように見られるが、里、村を隠すというようなことはできないだろう。だから行きにくくするとか、知られていないとかで、何とかなる。
 隠れ部屋は、襲われたときなどに隠れる場所。部屋でもいい。隠し部屋は敢えて隠している。隠れ部屋は目的がある。逃げ込むため。隠し部屋の方が不気味だ。似たようなものだが、その部屋について家人は一切触れないとか、行かないとか、前さえ通らないとかで無い部屋としてある感じ。
 隠し事も言わなければ隠れたままで発覚しない。誰が誰のために隠し事をするかにより、違ってくるが。他の人は知っているのだが、その人にだけには隠すとか。
 隠蔽となると事柄に関することになるだろうか。これは証拠を隠すとか、知られてはまずいものを消してしまうとかだ。
 隠し部屋の他にも裏部屋というのがある。これは何処だろう。部屋の裏側か。それなら隠す必要はないのだが、裏側を見せたくないこともある。
 隠れ蓑というのもある。蓑など最近使う人はいないが、言葉として残っているし、使うことも多い。身を隠すためのカムフラージュのようなものだろうか。
 蓑で身を隠すのは雨や雪に当たらないため。蓑は蓑虫を思い起こす。木の葉の欠片を体に付けていると言うより、袋のようにして、その中に虫が隠れている。冬服のようなもの。
 この蓑虫が隠れ蓑に近い。そういう具体的なものだけではなく、事柄にも使われる。偽装や擬態がバレると一寸恥ずかしいが。
 身を隠すというのもある。穴でもあれば入りたいとかで。これは滑稽だが、重要な人物が身を隠すとなると、異変に巻き込まれたか、そういう手段に出たのか、それは分からないが、隠れるというのは積極的か消極的かは分からない。
 逃げるイメージもあるので消極的な策かもしれない。または、仕方なく身を引くとかも。
 普通の個人も、色々と隠していることがあるはず。人には言えない。どんなに親しくても。
 これを便所の秘密と言っていたが、あまり上等な隠し事ではないかもしれない。
 便所も隠れ場所になるが、長くはいられないだろう。
 
   了


 
 
 


2023年8月21日

 

小説 川崎サイト