小説 川崎サイト

 

既成の規制

 

 木村はいいものを見付けたので、希望が出てきた。既に希望はあるし、夢のような先の展開に期待できるものを多く持っているのだが、さらに別の展開を見付けた。
 これは宝が多すぎるのではないかと思われる。その宝とは夢のようなもの。夢幻ではなく、実際に果たせるような内容。
 だから、ちょとした楽しさや憩いや、また大きな刺激が得られるようなもの。当然、そういった楽しみだけではなく、生きていく上での生き方のようなものも。
 今度新たに見付けたものは今までの既成概念に囚われないで、それを外したもの。それで、少し調べたのだが、今でこそ規制のようなもので縛られているが、以前はそれが普通にあった。だから目新しいものではない。
 しかし、新たにそういったものに挑戦しているのだから、期待できる。それで、これは楽しみだと思いながら、昼になったので、ご飯を食べに行くことにする。戻ってからが楽しみだ。できればそれに参加したい。
 ところが雨が降り出した。突然の雷光。これは降るぞと思う間もなく凄い雨。これはすぐにはやみそうにないので、仕方なくありもので昼を済ませることにした。
 残っていた食パンがあったので、それにハムとチーズを挟んでサンドイッチにし、それを焼いて食べた。やはり食事は温かい方がいい。そこにスープなどがあればいいのだが、お茶でいい。
 それを囓りながら、続きを調べていたのだが、どうも盛り上がるようで盛り上がらない。それは既成のものよりも弱いのだ。
 確かに規制が取り払われているが、大した差はない。その規制があってもなくても木村は気にしていない。それよりも中味、何を語っているのかに斬新さがない。
 この場合の規制外しは犯罪ではない。法には触れていない。だから風潮や自主規制のようなものだろう。誰も実際には縛っていないし、規制も掛けられていない。
 ただ、規制が掛かっている状態が長いので、それが今の既成のものになる。規制も移り変わるのだ。その前の規制をしていなかった時代に戻っただけ。
 これは残念だと木村はパンを強くかじった。チーズが垂れた。
 雨が降っていなければ、そのまま外に出ただろう。そしてパンではなく、もう少しましな昼ご飯を食べに入っただろう。
 そして、わくわくしながら。戻ってから続きを調べることになるのだが、ここに夢とか希望とがある。
 しかし、雨で食べに行かないで、調べていたため、結果が出てしまった。あまり託せない希望だった。
 世の中にはよくある。既成事実に拘らないで、取っ払った世界。それを謳い文句にしている場合、疑った方がいいということを。
 本当ならいいのだが、それを前面に出してくると臭い。期待度も大きいので、期待してみるだろう。そしてがっかりとまではいかないが、規制を外したところは興味がある。しかし、木村が狙っている本命ではなく、サブだ。それではないのだ。
 その雨、偶然降り出したのだが、もし降っていなければ、まだ調べ終えていないので、期待も崩れないまま外に出ていただろう。
 結果的には昔からあるものだが、今、それをやるというのは、それなりに期待できるかもしれない。できれば復活ではなく、新たな箇所を切り開いてもらうことを期待していたのだが。
 ただ、その新たな世界。既成のものに縛られないというメインよりも、サブの方に興味が走った。
 もう終わっているはずのものが、そこで復活してたのだ。それは規制内での話だが、商品なら売り物、宣伝しているものではなく、おまけのようなものだ。これは一寸期待できる。
 外は雨。しかし、俄雨より長かったが、降りが治まりだした。昼は外に出たい。既にややこしいホットサンドを食べたが、喫茶店へはまだ行っていない。
 木村は外に出た。雨はまだ降っていたが、しばらくすると小雨になり、そしてやんだ。
 
   了




2023年8月27日

 

小説 川崎サイト