小説 川崎サイト

 

気になること

 

 高橋は気になることがあるので、落ち着かない。いつも落ち着いているわけではないが、それよりも目立つ。目に立つだけではなく、頭の中で色々なシーンが起き上がる。
 こういうのはよくある。悪いことでも良いことでも。これは想像しているため。そして勝手にそれが回り始める。ぐるぐると回転するわけではなく、自動的に浮かび上がる。
 高橋はこのレベルになると、気になる。これは別のことに切り替わり、違う絵になるのだが、それでもまたそれが現れる。こうなると始末が悪い。
 それが付いて離れなくなり、そればかりを思うわけではないが、ついつい見てしまう感じ。ただ、そのシーン、同じシーンが多く、さらにその先の展開になるとかなり曖昧で、しっかりとしたイメージはない。
 高橋はこれを止めたいのだが、勝手に湧き出すのだから仕方がない。湧き出した瞬間に止めればいいのだが、なかなか静まらない。
 それで仕方なく、そのまま放置していると、いつの間にか消えている。忘れた頃にまた湧き出すのだが、ずっと脳裏から離れないわけではない。
 これは、気になることの原因を取れば治まるのだろうが、そうはいかない。
 それで頭の中でぐるぐる回るものを飽きるほど見れば、もう飽きてしまい、湧き出さなくなるかもしれないと思った。または湧き出しても反応しないとか、放置状態にしてしまうとか。そのあたりを考えた。
 高橋は過去にもそういうことは色々あったことを思い出す。すると長く今も続いているものはない。何処かで消えているのだ。自然鎮火のように。
 それは何かで解決したのか、またはもう気にしなくてもよくなったのか分からないが、そのうち止まることを知っている。
 今回もそうなっていくだろうと思うことにしたのだが、これは解決したわけではない。だが、未解決のまま忘れてしまぅかもしれない。そういう例が多い。
 今回もそうなるだろうと、高橋は期待した。
 
   了



2023年8月28日

 

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