小説 川崎サイト

 

新しい場

 

 平田は新しい場ができているので、検討する。計算もする。中味も比べる。
 先ず中味は大したことはなく、従来からある場よりも弱い。進んでいたり新たな展開があるわけではなく、意外と保守的。これは冒険をしないようだ。それで一寸ためらう。
 しかし、新しい場のほうが効率が良い。無駄なものを除ける。決してそれは無駄ではないのだが、遊びが多い。だから、そこで時間が食われる。新しい場でもそれはあるのだが、省略できる。その分、効率が良い。これは場の形式が違うためだろう。
 新しい場の中味は保守的だと言ったが、従来の場ではできなかったことができる。これは大した意味はなく、またメインではない。そこは新鮮だが、それ以上の展開はない。
 平田はそれで迷っている。新しい場に乗り換えるかどうかを。しかし、古い場のほうが充実しており、中味も良い。そうなると、二つの場を持つことになり、これは負担になる。
 しかし、メインの場のフォロー用、または補助用に別の場も使っている。だから既に二つ以上の場を持っているのだから、一つぐらい増えても問題はない。
 新たな場は従来の場を食ってしまうわけではなそうだ。そして、この二つの場は協力関係にあることを知る。
 だから親和性が高い。まるで一つの場のように見えることもある。そして今までの場にないものがそこにはある。古い場ではないものが、新しい場にはある。
 ある意味ライバル関係。これで古い場から新しい場へ流れることもあるだろう。
 それでも新しい場だけでは内容が今一つ弱いので、やはりサブ扱いかもしれない。
 新たな場ができるのは良い。それで古い場もそれに刺激を受けて活発になるかもしれない。ただ、今のところ、その気配はない。やはり古い場は以前のような勢いがない。あるのは新しい場。だから古い場から新しい場へ移ったのかもしれない。
 平田は慎重に、そのあたりを検討している。そのカラクリとか、構造などを。
 古い場での展開が、新しい場に移っている。古い場では展開しないが、新しい場では展開している。これが何となく気になる。
 そういう場、生まれるとしばらくは続く。今回の場は従来の場とは違う仕掛け。しかし、もっと前にはそれに近いものがあった。それが復活したような感じで、それなら新たな場ではないのだが、今なら新鮮。
 場を得たり、入ったり、出たりすることは難しくはない。別に問題はない。場の選択もだ。ただ、その場が落ち着けるか、馴染めるかだろう。それはやってみなければ分からないと平田は結論づけた。
 
   了
 
 


2023年9月4日

 

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