小説 川崎サイト

 

期限切れ

 

 最近不審なことが続く。山峰は最初、気付かなかったが、続くと、妙な気になってくる。
 それは小さなことで日常の中ではよくあること。少し面倒なこともあるが、それほど続くものではない。その小さな些細ごとだが、一寸した不快がある。深い不快ではないが、一寸嫌な感じがする。
 それは大したことではないのだが、たとえば期限切れとかがそうだ。何かの切り替えだが、長い間放置していると、そんな期限などあったのかと思うほど。
 期限があるのだ。あったのだ。
 これは賞味期限もそうで、既に過ぎているものもある。そういう期限切れが続く。契約ものではなくても、日常の些細なことでも。
 だからそういうこともあるだろう程度が、続くとやはり気になる。何かの警告ではないかと、その偶然性を考えてしまう。しかし、ただの偶然。ただネタは違えども期限切れというのは同じ。
 その期限切れ、そのまま放置していても問題はないものもある。使っていないものの期限切れとか、もうやめてもいいと思っているものの期限切れなら、別に問題はない。必要なものなら別だが。
 山峰はそこに注意を向けると、どんどん増えてきたりする。アレもそうだった、コレもそうだったと。ただ、それは無理に掘り起こしているようなもの、探し出しているようなもの。気にしなければ単発で一寸ある程度。そしてよくあることなので。
 物が故障するというのもある。これはしっかりとは明記されていないが、古すぎて壊れたのだろう。その時期になっていたとか。
 山根自身にも期限切れが来る。これが最大の期限切れだろう。その前にいろいろな物が期限切れするが、徐々になら分からない。
 山根自身ではなく、日常的なものとか、仕事先でのこととかでも、この期限切れがある。
 期限切れという枠で考えると、かなりのことが出てきたりするのだが、そこはもうこじつけだろう。
 ただ気になるのなら仕方がない。期限切れの重なりに気付いたのだから。気付かなければ何とも思わない。それだけのこと。
 しかし、この期限切れのネタ。何連発来るのだろうか。この偶然の連続回数にも期限切れがあるのかもしれない。
 
   了


2024年3月4日

 

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