川崎フォトエッセイ  その28  散髪屋    ←前 次→  ホーム


 町内に散髪屋さんがあると、他の街の散髪屋さんへ行きにくい。その散髪屋さんと町内で顔を合わせたとき、一寸気まずいからだ。

 同じように、町内に電気屋さんがあると、そこで洗濯機とかテレビを買わないと、薄情な人だと思われる。

 昔ながらの町内が残っているような町も少なくなったので、物の買い方も変わった。

 一昔前、長髪が流行っていた頃、散髪屋さんに行かなくてすんだ時期があった。一度行かなくなると、今度また行くとき、入りにくくなる。それで馴染みだった店を換えてしまことになる。

 町内の喫茶店もそうだ。定期的に通わないと、浮気をしているように思われる。

 古い散髪屋さんで、三世代に渡って通い続け、三世代に渡って営業している、というような店もあるようだ。

 男は比較的散髪屋さんを換えないようだ。ヘヤースタイルを変えず、散髪屋さんも換えないのが、一番のお洒落かもしれない。