川崎フォトエッセイ  その34  地面    ←前 次→  ホーム


 最近の住宅地では地面を見ることが少なくなった。確かに庭はあるのだが、子供が入り込んで遊べる場所ではない。庭には何かが植わっていたり何かが置いてある。単なる地面ではないのだ。

 空き地はそれなりに見つかるが、雑草が地面を隠している。また、田畑のあぜ道も、最近は舗装されていて、地肌が見えない。

 地面を見たければ、山にでも登るしかないようだ。街から地肌がどんどん消えていく。僕らは土の上にいきなり立てなくなってきているのだ。

 子供の頃、石蹴りやベッタンや釘さしをした地面は、今はもうない。

 たまに海水浴で、砂の上を歩くと、懐かしい感触が足の裏から伝わってくる。そして体の悪いガスを、地球が吸収してくれるかのような気持ちになる。精神的にも肉体的にもガス抜きが欠かせない時代になってしまった。そのリスクは払わないといけないのだろう。