川崎フォトエッセイ  その42  抜き取る    ←前 次→  ホーム


 時代劇調な建物だけを抜き取った写真は誤解を招きやすい。まあ、それは嬉しい誤解なのだが。

 周囲も似たような景観が続いているのだろうと想像してしまうが、実はカメラをちょっと降ると、いわゆる「現代」に取り囲まれているだけなのが分かる。

 写す側は、興味のあるものをメインにする。人間の眼も、レンズなのだが、読み解くのはその人なので「そそる」ものがメインになる。

 人の意識の数だけ景観がある。でも重なる部分のほうが遙かに多いので、同じようなものを見ていることは確かである。同じ人でも、その人の心境によって、景観が変わる。

 何気なく視点が行ったものを見て、忘れていたような事柄を思い起こさせてくれることもある。

 個人的な連想の糸、それは意図しなくても紡ぎだされるものである。