川崎フォトエッセイ  その44  妖怪    ←前 次→  ホーム


 言葉や文字としてなら存在していても、実際にはないものがある。「妖怪」という言葉も、それに当てはまるだろう。

「妖怪」と言わせるような何かがそこにあったのは事実かもしれない。それは何かの誇張や、何かの恐れや、何かの希望を言い表しているかのようだ。

 この世に無いことでも、言葉や絵の中でなら、存在できる。例えばあの世も、言葉の世界では存在している。その証拠に葬式や先祖供養などは、極当たり前にやっている。これは習慣や儀式という現実の枠内に入っているためだろう。

 妖怪も、いないことは分かっていても、存在するかのように考えて、それを楽しむのも、悪くはない。

 本当に妖怪などいたら、とんでもないことになる。

 あまりにも現実からかけ離れた空想の産物は、逆に安全なのかもしれない。