川崎フォトエッセイ  その110  引く    ←前 次→  HOME


 自分の立ってる位置を、ちょっと引いて眺めると、とんでもない場所にいることが分かり、ぞっとすることがある。
 暮らしの中では、自分を引いて見るという次元には立たないもので、たいがいはベタベタな感じで立ち振る舞いしている。
 つまり自分を客観視するような感じで、それを意識的に維持するような日常生活では、逆に引きすぎで味気ない。引くというのは、やはり熱中していないことで、たとえ疑似客観視でも、自分を見ている自分の状態では、体重が乗らないので、薄っぺらで通り一遍な感じになってしまう。
 意識的に、ポジションをとる場合は、何らかの鋭利な狙いがあるときだろうか。その位置でないとまずいような状況とかの必要性が裏にあるように思える。
 でも、自分がどう思われているかを知ったとき、恥ずかしくて動けなくなる怖さもある。引いて見てはいけないことがあるのも確かだ。