川崎フォトエッセイ  その140  ニュータウン    ←前 次→  HOME


 ニュータウンと呼ばれるような宅地は、都心部の雰囲気をそのまま持ち込んでいる。それまでは、ほとんど何もなかったような場所なので、一から新しい街が作れるのだ。

 古い街は、昔から住んでいる人がいて、その街固有の文明(?)が残っている。それなりのお寺や神社があり、今の時代では実用性を欠いているとはいえ、それなりの世界が一枚加わっている。

 僕の住む住宅地も、元々は農村だったので、神社があり、地元の商店街の人が秋祭りでは山車を引っ張っている。これは、あるとないとでは、街の深みが違う。神社や先祖が眠る墓地の存在は、聖なる場所なのだ。街に神や仏の層が加わることは、信仰の有無とは関わりなく、街に筋を与えている。

 ニュータウンは、その意味で、都市信仰型で、機能を優先した世界である。

 呪術も土着の呪術ではなく、都市型の呪術なので、今の時代を露出したようなリアルな切れ方をするようだ。