川崎フォトエッセイ  その172  防波堤    ←前 次→  HOME


「時代の波」は海の波ではないので、防波堤を施していても見えない。
 波が打ち寄せると、浸水するので防波堤を作る。しかし普段は防波堤を必要とするほどの高い波は来ない。そのため、防波堤はコンクリートの壁となり、その壁の上に登らないと海が見えない。従って波も見えない。
 防波堤を築くと安全だが、見晴らしが悪くなる。そのため、防波堤に上る鉄梯子とかが、ある間隔を置いて設置されている。しかし、この鉄梯子は、日常的に利用するようにはできていない。防波堤は、そこそこの高さがあるので、上るのは怖い。
 時代の波や、うねりは、日常をかき乱すものである。できれば、昨日と同じペースで暮らしたい。その波が、たとえ好ましい波でも、波乗りは危険を伴う。
 待ち望んでいた波が、すぐそこに来ていても、乗るのに躊躇することもある。よほど必要に迫られない限り、動きたがらないのかもしれない。