川崎フォトエッセイ  その215  出過ぎた杭    ←前 →次  HOME

 昔からあるような物体には、比喩や洒落が展開している。アナロジーが効き易い物体と、そうでない物体があるけど、日本語の場合、語呂だけでも展開できる。

 たとえば「壁」などは「人生の壁」等の臭い言い回し方がある。安易な駄洒落は、人を凍らせるので、独り言で留め置いたほうが賢明だ。

 豊かな風景とは、豊かな語彙が含まれている風景である。寺社とかは、語彙の集合体なので、非常に密度が高く、風景としては濃すぎる。

「我が家の大黒柱」「縁の下の力持ち」等の言い回しも、大黒柱や、縁の下がない家では、言葉だけが、宙に浮いた感じとなる。

「出る杭は打たれる」も、なかなか上質な杭が見あたらない。

 高い杭を見ていると、これは出過ぎていて、もう誰にも打ち込めない状態であることが分かる。だからこそ、背の低いうちに、出鼻を打ち込めということなのだ。そして、出過ぎた杭は、倒すしかないことに気付く。