川崎フォトエッセイ  その254  風景の記憶    ←前 →次  HOME

 一度行った場所でも、長い期間思い出す機会がなければ、忘れられた土地になる。思い出せるということは、記憶の上にはあるのだから、いつでもアクセス可能だということだ。

 思い出し方としては、日常の中で、その地名とかに遭遇したときだ。行ったことのある地名なら、すぐにアクセスできる。

 しかし、断片的な記憶もあり、どこに所属しているのか分からない記憶の場合、地名で整理されていないため、思い出すチャンスが少なくなる。たとえば、ある街まで行くときの通過地での風景とかだ。

 昔の写真を整理していると、こんなところに本当に行ったのかと思えるような写真に出くわす。自分が写したのだから、その場所に立ったことは確かなのだ。

 睡眠不足で、フラフラの状態で、現場を歩いていたときなど、たとえそれが現実でも、夢の中の風景のように記憶されてしまい、日常の中では、率直には思い出せないこともある。