川崎フォトエッセイ  その306  排水溝    ←前 →次  HOME

 コンクリートで固められた川底は、水がなくなると妙な場所になる。決してそこは歩道にはならないが「通れない」わけではない。

 そこを通らないのは、歩道ではないからだが、物理的には歩道になりえる。ただ、横を走っている道路よりも、一段低いため、上り下りが大変である。

 非常事態ともなれば、その川底も、十分通行できる場所になり、利用できるが、平常時に敢えて通るのは冒険少年ぐらいだろう。

 コンクリートで固められる前は普通の川だった。水がなくても、そこに足を踏み入れることはない。なぜならどう見ても川なので、川底に降りると確実に靴を汚すからだ。

 川がいつの間にか排水溝になり、雑多な付加物を消してしまうと、単なる機能になってしまう。こうして都市は塗り替えられていくのだが、地肌が恋しくなるのは言うまでもない。