川崎フォトエッセイ  その371  場所と人    ←前 →次  HOME

 殺伐とした場所でも、そこに人の気配があると、場所が背景になって、人の気配がメインになる。

 誰もが通れる場所は、その場所独自の雰囲気とかは、固定的でない。そこに三輪車に乗った幼児がいたりすると、場所のイメージも書き換えられる。書き換えているのは、それを見ている僕である。

 知り合いの住む街角は、その知り合いのイメージがフィルターになってしまう。そういった私的な地図が存在するようで、都道府県名でさえ、その影響を被る。

 人の住む場所には人がいる。あたりまえの話だが、その人々が見知らぬ人々でも場所と知り合うよりも、人と知り合うほうが、人としては自然で、関係もより具体的になる。

 ただの通行人とは、接する可能性は少ないが、声をかければ繋がるのは事実で、建物や道路と接するよりも、アクティブである。