川崎フォトエッセイ  その393 濡れる    ←前 →次  HOME

 雨の降る日は出かけるのが億劫になる。それは濡れるからだ。傘をさしていても足下は濡れる。車でも乗り降りの時に濡れる。

 雨の降る日は街そのものが濡れている。その中を移動するのだから、いくら濡れない装備をしていても、装備そのものが濡れてしまうのだ。

 肌が濡れても、ふけばよいが、衣服や頭髪が濡れると乾くまで時間がかかる。さすがに皮膚を突破して中まで濡れないが、皮膚そのものが濡れるのは確かで、長時間プールの中にいるとふやけてくる。人間は陸上に住む動物なので、長時間濡れるのを嫌うのだろうか。

 濡れると情緒面も影響するようで、例えばしっとりとした気分になったりする。晴れた日に出かける気分と雨の人では明らかに気分が違う。

 内部が濡れることもある。涙とかがそうだ。外部に天気があるように、内部にも天気があるのだろう。