川崎フォトエッセイ  その418 指す       HOME

 指しているものと、指されているものとの間には距離がある。これは、言葉とその実体の関係でもある。広告での商品と、実際の商品との関係でもそれがある。それは、実際のものよりも、言葉や広告や看板のほうが、イメージを膨らませやすいためかもしれない。

 世の中は、表示と表示されたものとの鬼ごっこのような感じで動いているふしがある。言葉は何かを指しているが、指されたものも、また、何かを指している。言葉や広告や看板が指している実際のものに接したとしても、さらにそれが、別のものを指そうとするのだ。

 指されたものが、商品であったり、ある事柄であったとしても、それを得たり、知ったりできても、まだまだ何かを指し続けているように思えてしまう。

 それは欲求や欲望が絡んでくるためで、イメージの違いは永遠に続くのだろう。