川崎フォトエッセイ  その471 買う       HOME

 何かを買いに行くとき、買い手側は「買う」だが、売り手側は「売る」である。

 店の表示で「買う」となっていると、買う側の立場に立っているため、お客さんの視点で語られているようで、気持ちがいい。「売ってやる」ではなく「買えますよ」という感じになるからだ。

 古書店などでは「高価買い上げ」などの表示があり、店側が高く買ってあげますよとなるが、余談だが「高価」は「地球に優しく」と同じで、具体的なパラメーターではない。

 僕らはふつうに暮らしておれば「売る」よりも「買う」ほうが多い。仕事は「売る」に属している。勤め人の場合は、時間やサービスを売っているようなものである。物と事柄は別だが、サービスも一種の商品である。

 買うことと借りることとは違うが、お金を支払って借りる場合、これもサービスという商品を買っているようなものである。