川崎フォトエッセイ  その558  窓の外      HOME

 窓は採光のためよりも外を見る楽しみを与えてくれる。窓の外が隣の建物の壁だけでは寂しいが、それでも外気を感じることができる。虫ぐらいは飛んでいるだろう。

 できれば、窓から空が見えるとありがたい。目の焦点が無限域に来るため、目の筋肉が疲れないし、天気という基本的な情報を得られる。

 さらに遠くの建物や山や樹木が見えていると、室内にいる閉鎖感が緩和される。常に外部と接している感じがあり、世の中と部屋とが同じ時間の上ですぎていることが実感できる。

 テレビやネット上で流れる世の中の映像やデータよりも、窓から見える世の中のほうが遙かにリアリティーがある。そこでの情報にはニュース性はないし、自分が今必要なデータではないものの、現実がそこにあるというベース的な趣を得ることができる。

 窓の外の風景は、いつもの風景なのだが、自分も同じ空間内で棲息していることが分かる。