川崎フォトエッセイ  その573  炙られる      HOME

 時勢は炎のようにエネルギーを持っており、古いものは炙られ、焦げ付き、やがて灰になり消滅する。

 しかし、人には未練があり、過去の遺物であっても残しておきたい感情がある。その気持ちも時代の勢いで、足手まといになり、いつかは手放すことになりかねない。

 世間にとって価値あるものは、何らかの意味を持たせて残すことになる。感情や気持ちだけではどうにでもなってしまうからだ。

 歴史的にみて、貴重な資料になりうるものは、それなりの指定を受ける。しかし、そこからはずれた物件は、保存は任意となり、いつの間にか消えてしまう。この時代をナマで生きる限り、リアリティーのあるほうを選択するのは当然かもしれない。

 この時代に、炙り、煽られのも、また自然な成り行きで、歴史はそれを繰り返し続けている。遠い過去の感情が、今も生き続けるものなら、焦げ付かないだろう。