川崎フォトエッセイ  その580  砂山      HOME

 砂山は誰にでも簡単に作れる「山」である。水分を含んでいない砂は、サラサラしており、尖った山は作りにくい。一定の裾野に見合った高さとなる。その意味で見た目のバランスは安定している。

 砂は小さな石が集まったもので、一枚岩のように一塊りのものではない。砂山は手で触れただけで形が崩れる。  大きな石や岩は、一人で運ぶのは難儀するが、砂は何往復かすれば移動させることができる。手で掴んだ分だけ運べる。

 風や雨の影響で、砂山の形は簡単に変わってしまう。砂粒の風化ではなく、形の風化なのだ。

 砂場での遊びでは、砂は「ご飯」にもなれば「水」にもある。形として見えない空気を見せることもできる。

 砂塵は風を見せてくれる。風そのものではないが、風の通った位置や勢いなどが見える。雨や雪も風の流れを知らせてくれる。