川崎フォトエッセイ  その656  生きた建物      HOME

 それはもう夢の中での風景ではないかと思うような建物が残っている。その建物が単に形だけあるのではなく、人の暮らしと建物がまだ生きていることが大事だ。

 建物は機能していなければ、ただの箱だ。その箱に価値があっても、それは本来の機能とは別である。

 例えばかなり古いカメラでも写真を写すことが出来る。カメラは写すためにある機械だ。クラシックカメラとしてコレクションしたり、眺めたりすることは、カメラ本来の機能とは別である。

 また、敢えて、古いカメラを新たに買ってきて使う必要もないだろう。新製品は、それなりに今の事情を反映しているため、機能的にも今に即している。

 しかし、精神的な機能も存在する。あるイメージ物体が、自分の精神機能を活性化させてくれることもあるからだ。

 物と気持ちとがしっくり行く関係は、意味の調整を経て見出せるのかもしれない。