川崎フォトエッセイ  その675  超高層ビル      HOME

 ぽつんと立っている高層ビルは何故か浮いている。ビルが森のように林立しているような場所なら、目立たないのだが、ぽつんと一人だけ立っていると、違和感を与える。

 山や樹木が常に見える場所に住んでいても、違和感を覚えない。これは目立つとかの問題ではなく、そこに空があり雲があるのと同じレベルで認識するからだ。

 高層ビルは文化的自然さで発生したものだ。そこに人間の企みが背景としてあり、それが見え隠れしてしまう。

 山や樹木の自然を受け入れるのとは違い、高層ビルは強引な存在の仕方をしているため、人間的な反応をしてしまうようだ。

 自然界からの圧迫は受け入れやすい。人知を越えたものを相手にしているからだ。しかし人為的なものは、人間的な臭味を覚えるため、拒否してもかまわない。

 高層ビルは、ちょうどクルマが殻を被って走っているのと同じで、人がそこにいるのだが、殻に不気味な人格を見てしまう。