川崎フォトエッセイ  その721  普通の暮らし       HOME

 普通に日常生活をおくれることは幸せなことである。とんでもない内情を秘め、それが頭の中に常駐し、トラブルの渦の中で暮らす時期もあるだけに、見た目通りの普通さで居られることは、有り難いことなのだ。

 しかし、人は何でもない状態で過ごすことは希で、常に何かを気にし、何かを背負って動いている。

 人の動きを見ていると、単純に見える。その内実が分からないためだ。社会的には普通に暮らしていたとしても、その範囲内でのトラブルや、気がかりがあるはずで、シンプルに今の行動をやっているとは限らない。

 人々や自分の暮らしを引いた時点から見つめるというのも希で、たとえご隠居さんになっても、気になることは多いはずだ。

 暮らしの中で、ふと一瞬、自分や他人や街を、しみじみとした気持ちで見たとしても、それもまた突き動かされている何かの影響かもしれない。  集中することも、ぼんやりすることも、さほど変わらないように思える。