川崎フォトエッセイ  その865  欠点       HOME

 何かが剥がれた状態は、本来の姿とは違うし、本来の表示ではない。しかし、その箇所が本来のものよりもリアルに感じられることもある。

 何かが欠けている状態は、日常では普通のことで、完全無欠な状態のほうが逆に怖い。それは作られたものの宿命であり、ある意味で自然な姿だろう。

 僕らも自分の中で欠けている箇所をたくさん発見するだろう。それを欠点と言ってしまうとマイナスイメージとなるが、欠点のある状態が普通なのである。

 完全無欠な状態だと、そこから先の展開がもうないようなもので、生きるエネルギーのようなものも沸きにくいかもしれない。

 欠点がコンプレックスとなり、それを補うために、またはそれを見せまいとするための行為は、かなり根深いところから来ているため、エネルギー源としては豊かだ。

 欠点どころか、ほとんど何もない状態から立ち上がっていくほうが、生き方としては充実するかもしれない。

 欠点をなくしてしまったとき、動きが鈍ることも有り得る。