川崎フォトエッセイ  その886  リアル       HOME

 多くの風景画を見ていて、つまらないと思うのは、本当の風景を見てしまうためだろう。絵画はリアルにはかなわない。

 それは写真でも動画でも同じで、リアルを越えられるものではない。

 ただ、それを作った人は、その過程をつぶさに体験し、手間暇かけて作るため、そこに意味が生じてしまい価値が生まれるのだ。それは鑑賞者にも伝わる。実際に風景を見るのは無料であり、手間も時間もかからない。ちょっと上を見上げれば、空というキャンパスに絵は書かれている。

 その意味で風景画は、自然を模写したものではなく、書いた人の気持ちの風景を覗くような仕掛けとなる。風景よりも、それに対しての感想や、作者の思い入れとかの気持ちがポイントとなるようだ。

 人は気持ちの問題で、随分と無駄な時間や労力を使っている。その行為に対して、僕らは鑑賞者として価値を見出したりするのだろう。