川崎フォトエッセイ  その941  憩える家       HOME

 日本の民家は、お洒落で小綺麗になってきた。しかし、そうでないような家から、引っ越し、今風な家に住んだ場合、環境の激変が辛いのではないかと邪推する。

 この変化は、普通ではないはずだ。何処かぎくしゃくしたものを残してしまうように思える。

 農村部にある所謂農家は、建て替えをしても、前と似たような造りになることが多い。住み慣れた間取りや庭などをそのまま維持したいのだろう。これは景観を守るとかではなく、住んでいる人の生理的な事情だ。

 だが、町並み保存などで、今風な建て方が出来ない場所もある。

 単に古くなっただけの日本家屋で、しかも文化財的価値もないような家は、誰も惜しむことなく建て替えられていく。

 日本家屋は、言葉がおかしいが、散らかし放題が許されるような面がある。何処に何を置いても、かまわないようなゆとりがある。

 これは油断しているだけのことかもしれないが、隙を見せない建物よりも、憩えるようだ。