川崎フォトエッセイ  その954  年輪       HOME

 年を重ねた人は得体の知れぬ何かが含まれているように思ってしまう。その人の経験したことは若い人よりも多く、複雑なため、難解である。

 何をしてきた人なのかが分かりにくい場合、神秘的な存在になる。それは単に分かりにくいだけのことかもしれない。

 しかし、年を経、経験を積み重ねたとしても、本人は大したことではないと思っている人もいるだろう。一つ一つのキャリアは、人に話すほどのことでもなく、また自信や誇りにもならず、単に恥ずかしいだけなのだが、他者はそうとは受け取ってくれないこともある。

 年輪や肩書きに対する誤解がある。実質的にどのレベルだったのかは本人が一番良く知っているはずだ。具体的にそこを突かれると、そのほとんどが失敗談になるかもしれない。

 しかし、失敗し続けるのも、またキャリアで、失敗の苦渋を知っているだけでも、価値は高い。だが、それが裏目に出ると、たちの悪い人間になる可能性もある。

 

 

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