川崎フォトエッセイ  その968  駐車禁止       HOME

 クルマは一つの部屋に近いスペースを持つ。そのため、クルマで移動すると言うことは、部屋ごと移動することになり、道路は部屋だらけとなる。

 路上で停まっているクルマは、部屋がそこにあることに近く、行き交う人は乗っている人ではなく、部屋そのものを見ている。少なくても、窓の中にいる人を覗くのは失礼な気がするからだ。逆に言えば、クルマから外を見ることは、部屋の外の風景を見るような感じである。

 路上に人の乗っていない部屋が置いてあっても、それは燃えないゴミではない。所有者のいる物件で、それを傷つけたりすると犯罪になる。

 ある日、起きてみると、自分の家の横に、見ず知らずの人の部屋が出来ていたら不気味である。部屋である限り、そこに生活の痕跡があるプライベートな空間である。

 真夏や真冬はクルマはエアコンをつけるためエンジンをかける。低い唸り音と振動が周囲の家に伝わる。

 しかし、クルマの中は密室なので、自分のやっている行動に気づかない人が多い。

 

 

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