川崎フォトエッセイ  その1029  ある雲       HOME

 単なる雲なのだが、それを見た状況で、思いが違ってくることがある。

 人は様々なものを背負って生きているため、その生き様の渦中で見ると印象も違ってしまうのだろう。

 雲は珍しいものではないが、願っても好みの雲を見ることは出来ない。どんな雲が発生するのかは天気次第だ。

 素晴らしい雲が出ていても、その間、雲を見られる場所にいないと、その素晴らしさも分からない。

 しかし、日常の中で、どんな雲が浮かんでいようと、ほとんどの人にとっては関係がない。

 自分にとって、それほどリアルな影響がないものほど、託せる隙間があるような気がする。

 その隙間とは、油断の隙間で「そういうことがあるのか」という種類の隙間だ。

 普段は、意識の外にあるものとの遭遇は斬新だ。そしてありふれたものほど、味わい深い。