川崎フォトエッセイ  その1062  出方       HOME

 単純なものを見るとホッとすることがある。いつも訳の分からないような複雑なものに接していると、何でもないようなものが必要になるのかもしれない。

 密度の濃いものばかりだと、息を抜く暇がない。逆に薄いものばかり見て暮らしていると、歯ごたえのあるものが欲しくなりそうだ。

 単純なものも、よく見ると、複雑なものが含まれているのだが、その気になって見つめないと、それは迫ってこないだろう。

 むしろ、単純なものの中に、奥行きや複雑さを見出すほうが圧迫感がない。

 淡泊な人でも、濃い箇所がある。それを見出すほうが楽しい。

 濃い人の中にある淡泊な箇所は、何となく間が抜けたような印象になる。その箇所は安らげる箇所であり、休憩出来る場所だろう。

 好感の持てる濃いものがあっても、それに接すると疲れるので、そこから逃げ続けることもある。