川崎フォトエッセイ  その1097  煙突高い       HOME

 町内で一番高いのは風呂屋の煙突だった時代がある。

 煙を吐き出す煙突は、ある程度の高さがないと、近くの人は煙くて仕方がないからだ。

 しかし、煙は消えて無くなるわけではない。大気汚染がどうの、地球の温暖化がどうのと、今ほど気にしない時代もあった。無邪気と言えば無邪気なのだが、煙突は繁栄のシンボルでもあったのだろう。

 炭坑節に「さぞやお月さん煙たかろ」等と歌われている。煙たいぐらいで、すめばよいのだが…。

 黒煙を立てながら走る蒸気機関車も、最初は力強さとして見ていた。しかし、あの煙、どこへ行くのかと考え出すと、趣も削がれる。

 風景は、意味を知ることによって、思いも違ったものに塗り替えられるのだが、単純に感動できないのも辛いかもしれない。