川崎フォトエッセイ  その1172  研磨       HOME

 球形の物は、磨きやすい。丸い物は、既に磨かれたあとかもしれない。

 例えば、水に洗われ、角が取れ、丸みを帯びる。そのものが尖ったものであっても、角がまろやかだと、厳つさも薄れ、馴染みやすくなる。

 それは、手触りとかの、触覚的なイメージのためだろう。触ったことはなくても、角が尖ったものと、丸みのあるものでは、視覚的にも滑らかさが伝わってくる。

 人は、人によって磨かれ、角が取れたりする。それは一種の妥協策のようにも思えるが、生きる知恵だろう。

 人格や人柄は、経験を積むことで、磨かれ、人当たりもよくなる。しかし、それは表面だけで、尖っていた時期の鋭利さを全面に出さなくなっただけかもしれない。または、出せなくなっているのだろう。

 何かの拍子で、和やかな人が、鬼のようになることがある。人は、経験程度では本質は変わらないと思える。