川崎フォトエッセイ  その1362 呼吸する壁       HOME

 自然素材が見直されている。

 特に人が住む場所では、自然素材の土や木や竹や藁や石などを使ったほうが、人との相性がいいためだろう。

 それがいつの間にか、コンクリートや合成樹脂に塗り替えらた。建物も、新建材を使った張りぼてのようなものが増えてしまった。

 その中で、人が住むこと、そして暮らすことを空間だけで考えており、その仕切についての配慮がなされなかったのかもしれない。

 確かに本物の石垣は、ブロック塀よりも高価だし、新建材より、塗り壁のほうが手間暇もかかるため、コスト的に高くなる。

 藁が見えている荒壁などは、昔の人なら見慣れた景色だった。

 それが、見直されてきたのは、昔からあるものの良さを思い出したのだろう。

 建物は造形作品ではない。形を優先させるため、扱いやすい素材で作ってしまうと(呼吸しない壁)にぶつかってしまう。

 

川崎フォトエッセイ  その1362 呼吸する壁       HOME