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デジ式とは、デジタル処理一般の意


■キャノンデジタルカメラ IXYレポート

 通常カメラのIXYが非常に小さいと思っていた。それに近い感じで、キャノンデジカメのA!も非常に小さいデジカメだった。出てすぐに買った覚えがある。85万画素のカメラで、当時一般的だった35万画素に比べて、さすがに写り方は良かった。それよりもキャノンはスタイルがよく、従来カメラの形をしていることも、好感が持てた。と、言いながらも従来カメラとは逆を行くカシオカメラを使い続けていたのだが。

 しかし、どうしてもIXYほどには小さくならなかったが、IXYデジタルとなって登場したこのカメラは、ほとんどタバコの箱に近い大きさである。これは夢のようなカメラで、常時携帯している自分としては、この小ささは、おいしいわけである。

 キャノンのデジカメをよく見ていると、ハーフサイズカメラ「キャノンデミ」を彷彿させる。それは四角く切り取った箱なのだが、丸みを帯びていた。

 当時のレンズシャッター式カメラ(キャノネットとか)のシャッタースピードは500分の1秒(オリンパスカメラの中に例外的に1000/1秒がある)だったように思う。これはレンズ式シャッターでは、よくある高速シャッターで、一応歩いている人ぐらいなら、その動きは止めることが出来る。IXYデジタルは1500分の1秒で切り取れる。これは小さいカメラでぶれやすいという欠点を多少とも押さえてくれる。晴れた日なら、このスピードで切れるかもしれないが、露出はプログラムオートなので、確認は出来ない。(高速シャッターの恩恵は、絞りを開けられるので、背景をぼかしたりしやすい)

 レンズは35ミリカメラ換算で35ミリから70ミリと、平凡すぎるズーム比である。しかし、ズームレンズが出始めた頃は、この画角域のズームが、標準ズームで、懐かしくさえある。収納すると、一円玉ぐらいのかさにたたまれるというのだから驚きだ。そうでないと、こんな小さなカメラボディーは作れないだろう。明るさは、F2.8_4である。カシオにF2と明るい三倍ズームを作っているキャノンとしては、レンズメーカーでもあるわけなので、自社用の超コンパクトズームの開発も、特異なはずである。しかしキャノンのデジカメは、かなりオーソドックスで、控えめである。

 低速シャッターは1秒まで可能である。30分の1秒とかで終わっているカメラが以前あったが、室内ではほとんど、写せないことになる。2分の1秒とかで、手持ちで写せば、露出は大丈夫でも、ぶれてしまうが、デジカメの場合、フォトレタッチソフトで、ソフト効果をかけて追い打ちをかければ、雰囲気のある写真になる。

 IXYデジタルは、ボディーは小さいが、ファインダーは大きい。非常に鮮明で、これは距離計連動式ビューカメラ(コピーライカ機)を長く作ってきたメーカーだけに、オリンパスもそうだが、非常に気持ちがいい。ちなみにIXYをファインダーを覗いていて、巨大なコピーライカでもあるキャノン7を思い出してしまった。もちろんキャノンデミのファインダーは傑作で、のぞき窓は小さいのだが、その中は夢を見ているかのような映像が奥の方に現れた。ファインダーは写真心を起こしてくれる。

 しかし、たった一つ、残念なことがある。それはAF補助光が暗い場所で光ることだ。これがまた真昼のように明るい閃光を発するため、下手に隠し撮りは出来ない。補助光が出ていることは、よほど暗い場所でしか確認できないが、どの程度で光るのかは、曖昧なため、写す前にぴかっと光ると、目立ってしまう。さすがに補助光が届かない被写体では光らないが。

 それ以外はよく練られたカメラで、デジタルズームで、四倍まで望遠が加わる。70ミリの4倍なので、280ミリの望遠が可能だ。300ミリを越えると、超望遠と呼んでいるが、タバコぐらいの大きさのカメラで、そんな望遠になるとは、嘘のような話だ。練られている点は、カメラ設定側で、デジタルズームをオンにしておけば、光学ズームの端に来ても、そのままデジタルズームに入ってくれることだ。デジタルズームは、液晶モニターでしか、フレームは確認できないが、ファインダーでも確認できないわけではない。AF合わせの、長方形フレームと、4倍ズームの時のフレームが近いため、液晶モニターを見なくても、写る範囲は何となく分かる。この方法は、ライカ式ファインダー枠を彷彿させる。距離計カメラでは、生のレンズを見ないため、望遠レンズをつけていても、像は拡大されないのだ。そして写る範囲が、切り取られたように示される。つまり望遠とは、切り取ることなのである。

 バッテリーは、専用で、充電装置が付いてくる。液晶をつけていなければ、300枚程度は写せるようだ。たまに液晶で、確認したりするので、240枚写せるとして、フィルム10本分である。僕としては一日で、そんな量は写したことはないので、範囲内である。200万画素カメラだが、そのような写し方はしないので、一番小さく荒い画像でしか、デジカメは使っていない。

 デジカメのデジタルズームはおまけのようなもので、デジカメの液晶で見る分には良いが、パソコンに取り込んで、大きくすると、荒さがやや目立つ。これはデジタルズーム以前に、望遠撮影となるため、手ぶれで画像が荒れるのだろう。従来カメラのIXYにはないデジカメの面白さはそれなりにあるため、使い方次第かもしれない。

 IXYデジタルの広告が雑誌にあった。方向性としては、携帯カメラらしい。これは、僕がカメラを使うときのメインテーマのようなもので、日常の中にカメラを持ち込み、常時携帯撮影を目的にしていることと合致する。つまり常時携帯日常撮影カメラとしていくにはぴったりだ。図らずもそれが従来カメラではなくデジカメの方がふさわしくなってしまった。

 最近のデジカメは本体とメモリは分離されている(本体側にメモリバッファ機能としてメモリはあるが)キャノンのメモリはコンパクトフラッシュカードで、これはウインドウズのPCカードスロットルとの関係はスマートメディアタイプより経済性がよい。PCカードスロットルに取り付けるためのアダプターが安いためだ。このカードメモリは、デジカメの画像データだけに使うものではなく、携帯型ノートでは、取り外せるコンパクトなHD風にも使える。

 つまり、画像デーからワープロデータまで、一緒に扱えるため、日常的に扱っているファイルの入ったメモリカードをそのままデジカメに差し込めるため、デジカメと携帯ノートとの相性は非常によい。

 実際の撮影は軽快そのものである。立ち上がりの35ミリ画角は、スナップに最適で、すぐに取り出せ、すぐに写せるスピードがある。鮮明で大きなファインダーは、レンジファインダー機(ライカ式)そのものだ。AFは三点式のワイドレンジで、ピントの中抜けが少ないが、どの点で合焦しているのかはイオスのようには分からない。液晶モニターは、小さすぎて、ピント確認は出来ない。しかし映した映像は、液晶モニター上で拡大できるので、心配なら、そこでピントが見える。それほど精確ではないが、近距離で合焦していたのか、遠方で合焦していたのか程度は分かる。

 従来カメラ化の比較では、IXYそのものである。それ以前のカメラで言えば、レンズシャッター式コンパクトカメラの水準だが、IXYと比べても、フィルム媒体を使わないため、経済性はよい。

 色の再現性は怖いほど合っている。屋外室内照明の種類を問わず、オートで写しても、バランスはよい。妙な色にならないのはさすがだ。レンズ特性は、淡泊で、すっきりとして抜けがよい。ねっとりと色を塗るタイプではないようだ。つまり、写真的にはニュートラルなレンズという感じで、悪く言えば個性がない。  従来カメラと操作は同じと言うことは、ある意味で面白みがない。しかし、超コンパクトなデジカメが欲しかったので、小さいというメリットはある。結局は持ち歩きやすいため、写す頻度が高くなるのだ。


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