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デジ式とは、デジタル処理一般の意


■ビクターデジタルビデオカメラGR-DVP7


 ビクターのデジタルビデオカメラを買う。世界最小モデルで、有名になった弁当箱スタイルの縦型カメラだ。小さい割には、値段は高く、同価格帯で3CCDで光学手ぶれ機能付きのカメラが買えるほどだ。また、静止画での画素数も、値段と比例しているわけではない。問題は、携帯性の一言に尽きる。

 デジタルビデオカメラの場合、本体だけではなく、アクセサリーキットを買わないといけない。実際にはそれがなければ、撮影は出来ないのだから、最初から本体に付属すべきだが、同じ機種を二台三台と買う場合は、充電器が重なったりするようだ。しかし、同じカメラを二台買う人もいるのは確かだ。スチールカメラの場合、新品を二台買うことがある。

 アクセサリーキットに入っているバッテリーやメモリカードは最低限のものなので、容量の多いバッテリーと、メモリカードも、同時に買う。テープはおまけで3本付いてきた。

 充電器は小型で、携帯性がある。

 レンズ画角は広角気味で、39.7〜428で、ワイドエリアモードで35.6になる。一般的な広角レンズである35ミリをキープしているのは有り難い。最短撮影距離は広角端で5センチで、テレ端は1メートルになるが、テレマクロで60センチまで寄れるようだ。実際に寄りが必要なのは広角側で、5センチまで、マクロ切り替えなしで寄れるところはスチールカメラから見ると驚異だ。
 やや望遠気味で、近い距離を写そうとすると、自動的にピントが合う焦点距離まで、自動ズームしてくれるので有り難い。しかし、素早くはない。
 テレ側のマクロは、メニューからの切り替え式となり、撮影中切り替えるのは不便だ。ないよりましという程度である。

 レンズ開放値はf1.8で、10倍ズームで、こんなに明るいレンズはスチールカメラから見れば、これもまた驚異だ。

 液晶モニターは非常に小さく、モニター可動式のデジカメと似たような大きさだ。液晶モニターを開くと、平面ボタン類が並んでいるが、狭いスペースなので、メニュー操作程度の使い方で、撮影関係のボタンやズームレバーなどとの兼用型だ。パネルタッチボタンは、使いにくので、この方法はいいかもしれない。
 タッチパネルは、硬く押しにくい。

 カメラ操作での持ち方が柔軟で、決まった持ち方をしなくてもよい。大きな円形をしたズームレバーが手前にあり、右手でも左手でも操作できる。左手でズームしながら、右手でシャッターを押すことも出来る。つまり、右手でカメラを固定させて握る感じではなく、左手でカメラを持ってもかまわない。
 ズーミングは、操作性は凄く良くく、窮屈な感じはしない。円形レバーの幅が広いことと、円盤の左右どちらからでも回せるからだ。ズーム音は静かで、気持ちがよい。
 このズーム操作は非常によい。

 ファインダーの画素数は平均的だが、画面が大きいため、非常に見やすい。つまり、ファインダー視野が広いのだ。そのため、粒子が逆に目立つことも確かだ。

 撮影モードは、オートとマニュアルがあり、電源機能と、同軸にある。
 再生 切 撮影 M と並んでいる。ロック付きのダイヤルだ。
 面白いのは、撮影などに合わせていても、ファインダーを引くか、液晶モニターを開かないと、電源が入らないことだ。逆に言えば、液晶モニターか、ファインダーを引くことで、電源が入ることになり、散歩中、こまめに写すには都合がよい。つまり、ロックボタンを押しながら、ダイヤルを撮影位置とかに持ってこなくてもかまわない。これはビクターだけの機能らしい。このあたりに、このカメラのピストル的な即写性が伺える。
 長く放置しておく場合は、ダイヤルで、オフにする方が好ましい。そのままだと、僅かに放電しているようだ。しかしオンオフを繰り返すことでのバッテリー消耗よりも、省エネになるかもしれない。

 ビデオカメラのAFは、追従式で、常にピントを合わそうとしている。動画ではそれでもよいが、静止画の時は、置きピンやAFロック後、構図を変えて写したいものだ。
 このカメラが意外なのは、フォトボタン半押しがなく、一気に切れてしまうことだ。つまり、AFロックやAEロックがシャッター半押しで、かからない。
 しかし、液晶で、ピントが合っているのかどうかを確認するのは、かなり難しい。
 一応フォーカスボタンがあり、それを押せば、ロックされる。そのあと、プラスマイナスのタッチパネルで、ピントをマニュアル的に動かせるのだが、操作性は今ひとつで、小さな液晶モニターでは、確認しにくい。やはりこれは、ピントロックボタンと見るべきだろう。
 フォーカスボタンを押すと、AEもロックされるようだ。フォーカスボタンを押し、さらに露出補正ボタンを押しても反応しないのは、そのためだろうか。このあたり、マニュアルには載っていないので、微妙な裏技だ。

 露出調整も似たようなもので、カメラ側面にフォーカスと同列に明るさ調整の独立ボタンが並んでいる。こちらもプラスマイナスで、合わせる。また、逆光補正の独立ボタンがあり、こちらの方が、能率は高い。プラス3補正されるようだ。
 補正はプラスマイナス5までだ。
 デジタル画像は、後で、何とでも補正できるのだが、飛んでしまったり、つぶれてしまったデータは、いくら操作しても、ない情報は、調整できない。
 しかし、カメラがオートになり、評価測光になってから、露出から解放されたと、思いこんだ方が、ストレスは少ない。ピントも同じだ。GR-DVP7の測光系は、全面平均測光に近い感じがした。
 階調が非常に狭く、飛んだりつぶれたりと、やんちゃな露出になるが、懐かしい感じがする。
 マニュアル的な、任意的撮影のためのプログラムも用意されているので、そちらに切り替えた方が、素早いかもしれない。ただ、メニューからの呼び出しになるため、多少は面倒だ。

 デジタルスチールカメラとして見た場合のGR-DVP7は、100万画素弱と、寂しいが、400ミリを超える望遠撮影が出来る。ただし、カード保存の場合は、デジタルズームが効かないので、それ以上の望遠は出来ない。
 400ミリを超える望遠を、小さく軽いGR-DVP7で手持ちで、写す方が、無理だろう。
 当然、テープにも静止画は保存できるが、640×480になる。ホームページで表示させる面積としては、大きすぎるほどだ。この場合は、デジタルズームで静止画も可能だが、画質的には、かなり厳しい。しかし、何も写っていないわけではない。
 また、テープの保存と同時に、カード側にも保存することが出来る。この場合、静止画を、テープから取り出すよりも、簡単だろう。

 暗い場所での撮影では、感度を上げるか、スローシャッターにするかの選択になる。感度上げは電気的なもので、スローシャッターに入らないため、ブレにくい。残念ながら、このカメラは静止画での手ぶれ補正はない。そのため、スローシャッターは避けたいところだ。

 オート撮影と、マニュアル撮影があり、マニュアル撮影の時、ナイトアイが使える。かなり薄暗い場所でも、カラーで写せるのだが、スローシャッターになるため、動きはぎこちない。静止画では、問題はないが、ブレが心配だ。
 オート撮影では、感度アップか、スローシャッターかを選択できる。

 しかし、そういう細かいことを言うほどの画質ではない。写っていることだけでも、満足するような使い方が好ましいようだ。それを超えるだけの機動力と携帯性があるため、今まで写せなかったような日常の中に入り込める。

 プリントを前提とした印刷用の写真データが必要なら、最大解像力で映し、面積を稼ぐほうが、プリントの仕上げはよいだろう。一番小さいサイズでは、さすがに名刺サイズ程度の印刷にしか使えないだろうが、実際には、この大きさのちょっとした写真程度の需要が、一番多いのかもしれない。
 しかし、初代カシオの25万画素のデータをプリントしていた時代から比べると、大変な進化だ。僕としては、写真になりかかっているあたりのデジカメ映像が面白い。

 静止画データはカードに記録される。テープにも記録できるが、取り出すのが大変だろう。
 USBでパソコンと接続すると、ドライブとして認識されるので、適当にコピーすればよい。カードリーダーはいらない。どうせ、USBで接続するのだから、同じことだ。カメラからカードを抜き取る必要がないため、手間はかからない。
 SDカードも普及し、いろいろな下駄を売られている。

 インターネットカメラとしても使えるようで、ウインドウズのメッセンジャーで、電話チャットなどが出来そうだ。

 ビデオ編集ソフトも入っているが、これは、いろいろな市販ソフトがあるので、特にこのカメラ用のものではないので、使う必要はないだろう。何もなければ、ウインドウズ標準のビデオソフトもあるが、それよりは多少はましな程度だ。

 実際に必要なのは、USBドライバぐらいだろう。ビデオ関係や、静止画関係のソフトを何も持っていなくても、一応は、編集できることは、初心者には有り難い。製品はビクター製のソフトだ。
 ビデオ編集ソフトは、MPEG1用で、これなら、ファイルサイズも小さいため、ハードディスクにデータをストックすることも可能だ。

 付録ソフトのイメージミキサーで、リアルタイムで画像をハードディスク側に保存することが出来る。監視カメラになるかもしれない。
 動画も可能だ。

 静止画撮影でのシャッターボタンの感触は、針で突き刺すような感じだ。シャッターボタン(フォトボタン)が、針のように細いというのではなく、被写体に対し、針で刺すような鋭さがある。
 ファインダーを覗いた状態で、既にピントは合っているため、そこから先の一押しが早い。
 通常カメラのシャッターボタンとは感触を異にしており、これは新鮮だ。まち針の玉のような小ささ、仁丹ぐらいの玉が、カメラ背面にある。通常なら右側面にフォトボタンを置く機種が多いのだが、カメラの背面というのは、意外な場所なのだ。しかも、周囲にボタン類はないため、指ですぐに分かる位置にある。
 撮影時の操作系が、全てカメラ背面にあるため、使いやすい。

 シャッターボタンというような待遇ではなく、ひと突きで、シャッターは切れる。ファインダーでは、一眼レフのミラーのような映像が擬似的に映される。また、ミラー音らしき音がする。これは一眼レフのミラーの跳ね返り音で、実際にはミラーショックがあるし、一瞬画面が見えなくなるので、有り難い仕掛けではないのだが、いつの間にか一眼レフの音として快く聞こえるようになってしまっている。
 シャッター後、写した画像が残り、書き込まれると、消える。
 シャッター半押しは、全くなく、AFロックもAEロックもかからないし、またピントを確認するマークも出ない。ピントは中央部のコントラストの高いものに合っているはずだが、アイレベルでも、液晶モニターでも、きっちりと確認することは出来ない。
 うんと遠くに向けた後、近くに合わせると、ピントが動くのが分かる程度だ。このときのスピードは、さほど速くないので、このときシャッターボタンを押しきると、ピントはまだ来ていないだろう。
 ピントが来るまで、レンズを向けておくという感じは、かなりアナログ的だ。しばらく待てば合うという感じだ。シャッター半押しで、強制的にピントを得ると言うものではない。

 静止画の連続撮影は、カードに書き込まれる時間で決まる。僅かな時間だが、書き込み時間がある。そのとき、モニターは止まっており、書き込まれると、撮影状態に戻れる。連続撮影に向かないのだが、このカメラのメインはビデオであり、そのときの連続撮影は、デジカメの比ではない。しかし、カード保存の静止画では、バッファのないデジカメ程度の感覚だ。一秒ぐらい間隔が開く。平均的なデジカメの連続撮影よりも、早い。
 連写したければ、ビデオ撮影すればよいし、静止画の連写モードもあるが、テープ保存となる。
 また、テープ保存と同時にカード保存も出来るが、解像力は、テープに合わされる。
 テープの静止画や、動画のフレームを、カード側にコピーする仕掛けを流用しているのだろう。
 それよりも、梅安針地獄のように、一刺しの鋭さで、静止画を写す感じが、かなり楽しい。ツボをひと突きする感触がある。これはライフルで、狙撃するのではなく、ピストルで、チクリと撃ち込む感じだ。命中率は低いが、当たると意外な映像を獲ることが出来る。

 このカメラは静止画での手ぶれ機能はない。そのため、ナイトアイという2分の1秒まで降りるスローシャッターでは、手ぶれしてしまうのは分かり切っている。電子式手ぶれ補正の限界もあるし、手ぶれ補正があれば、スローシャッターでも切れると思うのも危険でもある。しかし、ある方が好ましい。望遠側での撮影など、ぐらぐらしている。
 1ルクスまで追従する。

 静止画での記録モードは3つあり、それぞれ、圧縮率が二通り設けられている。
 画素を活かすための面積が、三通りある。これはパソコンで、原寸で見たときのドット値だ。
 実際に、撮影してみた結果、一番大きなサイズは、下駄を履かせていたようだ。つまり、二番目の画像を強引に埋め合わせて、面積を稼いでいた。二番目の画素数が、正直なところかもしれない。

 最近のデジタルビデオカメラは、デジカメ機能が進化しているが、テープ保存、カード保存と、保存方法が二つあるので、混乱しやすい。
 カード側にも動画は保存できる。そのときはフルサイズのビデオ画質ではない。メールや、ネット配信用の画質となる。このありの切り替えは、カード保存にレバーを合わせ、フォトボタンではなく、記録ボタンを押せば、カード側に動画が保存される。

 撮影モードも、オート撮影と、マニュアル撮影があり、どのモードでも共通な初期値もあれば、オートだけ、マニュアルだけのパラメーターもある。
 そのため、通常はマニュアルモードで撮影し、切り替えたいときは、フルオート撮影にダイヤルを回せば、使い分けることが出来る。例えばマニュアルモードではナイトアイが使える。マニュアルモードといっても、プログラム撮影と同じで、全てを自分で設定して撮影するわけではない。

 ナイトアイモードは、二分の一秒までのスローシャッターが使うモードで、多少色合いを濃くしている。暗い場所なので、色目を強調させているのだろう。

 このカメラの静止画撮影では、シャッター半押しがないため、ピントや露出を固定させたいときは、マニュアルモードで撮影する方が好ましい。その場合は、独立したボタンで、ロックをかけることが出来る。
 小さなボディーなので、ボタン類は少ない。数少ないボタンの中で、ピントと露出ボタンと、一発露出補正である逆光補正ボタンが並んでいる。不用意にそれらのボタンを押さないために、通常撮影モードがある。これが、フルオート撮影で、全て、プログラム任せである。しかし、初期値は、調整できる。
 逆光補正だけではなく、その反対側への一発ボタンがあれば、よいが、これは他のカメラにもないだろう。

 しばらく、静止画撮影に専念していると、画質的な問題も多々あるが、昔の35万画素で、ピントも固定式のデジカメに比べれば、驚くばかりの高画質だ。
 メインがビデオカメラなので、ピントを得るには、カメラを向けて、しばらく待たなければいけない。そのとき、ピントが合っているかどうかの情報は、モニターだけとなる。静止画での合焦マークとかが、出ないのだ。これは、シャッター半押しがないためなのだが、また、スポット的にピント検出することも出来ない。
 さらに画面のどの面で、ピントを合わせているのかの解説もない。

 GR-DVP7を静止画カメラとして、強引に観察しているため、スチールデジカメに比べれば、遜色があるのは確かなのだ。それは、スチールデジカメの動画機能ばかりを見ることと同じで、カメラそのもののメインではないためだ。
 しかし、ビデオメインのビデオそっちのけで、静止画メインカメラとして使うのも面白いと言える。それは、スチールカメラにはない面白さがあるためだ。
 特に、GR-DVP7は非常に小さく、レンズはスライド式引き戸に格納されており、電源を入れても、レンズが飛び出したりはしない。このレンズカバーは、電源オンとかは関わっていないため、この戸板を壊しても、電源は入る。
 また、ズーム時もレンズは出ない。このあたりは、全て隠し撮り用にはもってこいなのだ。そして、レンズだけを出せば、撮影できる。カメラが縦型なので、カメラ露出箇所は、最小だ。

 ネット関係の親和感はかなりあり、特にビデオ動画をネット上に載せやすくなっている。
 ビデオで写したテープの動画の一部をカード側にコピーしたり出来る。このときの画質はMPEG4で、ネットやメール用の軽いタイプで、テレビに映して鑑賞するタイプではない。
 また、最初からカード側に動画を記録できるが、記録時間などを考えれば、テープのほうが長時間撮影できる。

 静止画画質に関しては、何度か撮影するうちに、初期値の1024×768ドットと圧縮率はファインが、このカメラのベスト画質を引き出せるように思えた。仮に印刷までの考慮した場合、このサイズなら、何とかなるし、ネット上に上げるにしても、サイズの余裕があるので、トリミングともしやすく、余裕がある。
 付属のSDカード8メガで、14枚となる。32メガのカードなら86枚写せることになる。ベースの画素数が弱いので、物理的に乗り切るしかないようだ。実際にホームページ上に表示するときは、それを半分の広さに縮小し、さらに半分ほどに圧縮をかけ、小さなファイルにしてしまう。最初から、そのサイズや圧縮率で撮影すればよいのだが、そうなると、万が一プリントする場合に、問題が出る。そういう機会が、果たしてあるかどうかは分からないが…。

 レンズが画角的に、面白いのは、このカメラは広角気味と言うことだ。標準でも39.7ミリと、公称値は40ミリを超えている。45ミリとか、ほとんど50ミリ近くのビデオカメラも多いので、ワイド気味の画角を持っているのは貴重だ。広角側の1ミリは、望遠側の1ミリとは全く意味が違い、写り込む広さにはっきりと見える。
 また、35.6ミリのワイドエリアモードがある。ほとんど35ミリ広角レンズ内蔵カメラということだ。実際には、画素数を広げて、写り込む広さに対応しているようだ。画素のベースは物理的に増える。
 しかし、このモードの時は、手ぶれ補正が機能しない。電子式手ぶれ補正は、四隅の余裕がないと、ズレをデジタル式に補正できないためだろう。手ぶれ用の外枠を流用しているようにも思えるが、どうせ静止画撮影では手ぶれは機能しないのだから、問題はない。
 ワイドモードはマニュアルモードでの撮影になる。静止画はマニュアルモードでやり、ビデオ撮影はフルオートモードで撮影すれば切り替えは楽だ。フルオートモードでは、ワイドエリアモードは効かないからだ。
 フルオートモードをビデオ専用モードにするのが、賢明かもしれない。そのとき、AFロックや、AEロックや、逆光補正は効かないが、ビデオを回している最中に、そんなボタンを押すことはまずないだろう。押すと、そのショックで、画面が触れるほど、カメラは軽く、小さい。

 薄暗いところでの撮影に関しては、感度アップか、スローシャッターかで、迷うところだ。2分の1秒と開放f1.8レンズの組み合わせでは、かなりの暗さでも写せるが、手持ちではほとんど無理である。画質的には、ナイトアイと呼ばれているスローシャッターを使った撮影は、色目が生き生きとしているのだが、少し嘘くさい。
 しかし、カメラを置いての撮影なら、ナイトアイなら1ルクスの明るさでもOKになるので、これは驚異だ。しかも上がりは綺麗だ。ただ、ビデオ撮影では、動きが追従しないので、動かないものを写すのに適している。
 静止画では色目が違ってしまうのは惜しい。そのためナイトアイではなく、通常の自動スローシャッターに設定するのが、好ましい。ナイトアイは、子供の肌とかを出したい時用と、割り切った方がよい。

 GR-DVP7は静止画デジカメとして見た場合、機能的な不満はあるが、フォーカスロックや露出ロックというマニュアルで対処できるので、これは考え方の問題で、解決するだろう。
 ピントは追従式だが、しばらく待たないと、ピントが合わないことがある。別に合焦マークが付くわけではなく、また液晶モニターやアイレベルのファインダーでもピントが確認できるほどの精度はない。まあまあ、合っているだろうと言う感じで写すことになる。
 このあたりのアバウトさは、スチールデジカメにはない大らかさだろう。
 しかし、よく見ていると、見えにくいのだが、ピントが合っている状態が、それとなく分かる。
 ソニーのように、僅かでもアイレベルの画素数を増やせば、ざらつきを感じないファインダーで、ピントの山も掴みやすいのだが、画面が広いので、我慢するしかない。
 静止画での薄暗いところでの感度アップは、画素数が減るようだ。ただでさえ少ない画総数で、メガピクセルギリギリしかないため、苦しいことになるが、サイズ重量は、非常に小さくなる。
 そのため、感度アップより、スローシャッター、または、同じことだと思えるが、ナイトアイで、撮影した方が好ましい。本当に薄暗い場所でも写せるので、カメラを固定させれば、ナイトアイでは特に色の濃い写真が写せる。
 ナイトアイは、ビデオで動かないものを写すのに適しているように思える。実際には寝ている赤ちゃんを写すための機能だろう。
 既に押入で寝てしまったカメラ類を写すのもよいかもしれない。

 マニュアルモードでは、ナイトアイ、プログラム撮影では感度アップまたはスローシャッターオートに設定することも可能で、ダイヤルで、簡単にモードは切り替えられる。このあたりの階層が理解しにくい箇所なのだが、キャノンデジカメの「プログラム撮影」と「オート撮影」の違いに近い。つまり、本当の意味でのマニュアル撮影ではなく、露出補正など、多少はいじれるという意味でのマニュアルオートである。
 ただ、切り替えが簡単なので、モニターを見ながら、メニューから設定し直す必要はない。

 静止画デジカメとして見た場合、他の機種より、劣るところも多い。同じ画素数でも、GR-DVP7よりしっかりとした写り方と、デジカメとほぼ同じような操作性のある機種もある。また、静止画での手ぶれ補正とかのある機種もあり、必ずしもGR-DVP7が、静止画で優れているわけではない。
 問題は、そのコンパクトなボディーからくる携帯性に集約される。この問題も実に微妙で、どんなに優れたカメラがあっても、それを持ち歩いていないと、写し取ることは出来ない。この問題は、撮影が目的で、出かけたときは問題にはならないだろう。
 ポケットに入るほど小さく軽いカメラは、持ち歩くことは苦にならないが、同じ写すのなら、そこそこの画質で残したいと思うものだ。
 小さくて高性能は矛盾することが多い。薄暗い場所や望遠での撮影では、大きく重いカメラの方がぶれにくい。カメラが小さく軽いと、シャッターを押したショックがもろにボディーに伝わるし、カメラを持ち構えたときの安定感の違いが出る。
 しかし、GR-DVP7ほどの小ささだと、通常のデジカメに比べても、隠し撮りは非常に楽だ。液晶モニターは可動式なので、ノーファインダーで写すよりは構図も決めやすい。
 GR-DVP7に似た縦型コンパクトピストルデジカメとして、ナショナルから出ていたと思う。レンズだけが、ほんの少し出ているため、隠し撮りでは目立ちにくい。また、老舗デジカメとしてのリコーの現役機は、横型だが、同じように弁当箱スタイルをしており、しかも液晶モニターも動くので、GR-DVP7に似ている。
 しかし、GR-DVP7にはビデオテープが入ってるため、それなりの大きさ重さが必要になるため、決して軽いわけではない。まさか、GR-DVP7を買ってビデオ撮影しないと言うのなら邪魔な機能だが、ビデオカメラの恩恵と欠点とを、十分考えれば、特異な写し方が出来ることは確かだ。
 例えば、ピントは追従式で、レンズを向ければもうピントを合わそうとしている。10倍ズームなのに、ズーミングでレンズは出ない。また、操作音はほとんど聞こえないほど静かで、ビデオカセットがスタンバイする音が、しないわけではないが、特にGR-DVP7の操作音は甲高さがなく、非常に静かで、ビビーというズーミング音もない。
 これは、サイレンサー付き小型ピストルで、狙撃するようなものだ。

 レンズ関係は、文句を言っても仕方がないのだが、レベル的には高くない。ビデオテープから起こした静止画臭さが残り、垂直や水平からずれると、ジャギーが出る。パソコンで、微妙な斜め線を引くと、妙なギザが出るのと近い。そこに、光が加わると、エッジが浮き出しすぎ、描いたような線が走る。
 また、広角時は、極端な樽型で、歩道の線とかは丸みを帯びてしまう。これはビデオカメラのレンズ特性ではなく、通常のデジカメでも樽型になる機種もある。高倍率レンズで小型なので、無理があり、補正するのが大変なのだろう。
 しかし、接写などでは、驚くほどシャープな絵になることがあり、質感を超えた絵作りに、びっくりすることもある。そのあたりは全く読めない世界で、写す楽しみがある。

 望遠撮影では、コントラストが低いとか、似たようなタッチの続くものに対しては、ピントは合いにくい。しばらくしていると、合うこともあるが、レンズをさらし続けることになる。
 中央部の、スポットで、ぴたりとピントを得るという通常カメラのAFのようわけにはいかない。また、GR-DVP7には合焦マークは灯らないので、アバウトな感じで、写せなくもない。つまり、別に写せなくても、まあ、いいか、という程度の撮影では、楽しめるはずだ。
 しかし、打率は低いわけではなく、コントラストのあるものにあらかじめ合わせておいて、さっと合いにくい箇所に構図を変えて、シャッターを押せば、ピントを合わせ直そうとしている間に写ってってしまう。
 または、同じ距離にあるもので置きピンし、AFロックボタンを押せば、その後、何があろうと、ピントは動かないので、何枚でも写せる。

 GR-DVP7は胸のポケットに入るビデオカメラなのだが、入れっぱなしではさすがに重い。これは撮影の時、胸ポケットに一時入れておける程度だ。夏服では、片方に重いものを入れると、バランスが崩れる。
 しかし、ポケットに忍ばせ、さっと取り出して写す感じは、居合い抜きだ。
 このレポートを書いている間も、常に持ち歩き、喫茶店などで、かなりの隠し撮りをした。写し方としては、カメラをまともに構えて写さないと言うだけのことだが。
 隣のテーブルに座っている人などを、至近距離から写せる。特に左側に強い。液晶モニターをひっくり返すと、携帯の液晶のような感じになる。そして、レンズを向ければ、モニターでしっかり被写体をとらえることが出来、しかもズームでアップまで写せる。このときのズーミング音の小ささは、音楽が流れている喫茶店では聞こえない。当然シャッターを押したときも、シャッター音はしない。
 また、レンズの瞬きも最小で、レンズを直接見られない限り、シャッターが落ちた瞬間は分からない。実際にはいろいろなものが反射しているので、シャッターを押したときの瞬きだとは分からないだろう。

 レンズ部は当然露出するが、スライドカバーを上げれば、カメラだとは思えない固まりになる。また、レンズ側を見られている可能性がある場合、指でレンズを覆い、指の隙間から構図を取ることが出来る。ビデオカメラの凄さは、コントラストの高いものにピントが合うことで、指は近すぎるため、被写体とは思わないためか、僅かな隙間から、奥の被写体にピントが行く。
 その状態を、後ろから見られると、まるわかりになる。バックを取られるとまずい。

 超望遠付き携帯カメラとした場合、スチールデジカメとの差は多少出るが、独自の画質は味わい深いものがあり、今まで写せなかった領域、つまり、本来なら、カメラを取り出せないような場所でも、写せることが、最大のメリットとなる。

 ビデオ撮影に関しての詳細は次回に譲るが、静止画と同じく、独自の濃さがあり、写り方に関しては、特に問題はない。テレビに映してみると、ほとんどテレビ番組を見ているのと同じ絵が動いているのは、カメラの小ささを考えれば、感動的でさえある。

 静止画に特化して見た場合、果たして、GR-DVP7は、スチールデジカメとして使えるかどうかの結論だが、フィルムカメラと比べれば、ポケットカメラ的な画質しかないように見えるが、デジカメと比べた場合は、その問題は薄くなる。
 デジタルの画質は、フィルムとは違うものであり、当然、その味わいも違ってくる。これは、物理的な差は、フィルムサイズや画素数または受光素子に関わり、画質の味わいはレンズが担っていたのだが、デジカメはレンズよりも、全体的な組み合わせが、味に大きく関与する。そのため、フィルムカメラにはない意外性がある。
 画質としての味わいと見れば、こういう画質を天然に作ってくれる静止画デジカメとして、十分使えると思える。


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