川崎フォトエッセイ  その25  二階    ←前 次→  ホーム


「二階」と言う言葉は、数を表しているのだが、普通の木造家屋の場合、三階のある家はまずなかったので、上の部屋という意味だった。

 二階へ上る階段は、急勾配で、踏むとミシミシ音が鳴った。 僕の子供の頃は、周りに高い建物が少なく、二階建家屋の大屋根に上れば、地平線が見えるほどで、それ以上高い建物といえば、火の見櫓ぐらいだった。

 高層マンションが建ち並ぶ時代になると、二階屋も低い建物と化してしまう。 二階からなら、下の道を行き交う人の顔の表情が分かるし、声をかければ届く距離にいる。

 高層マンションになると、そういうわけにはいかない。水平に延びていた路地が、垂直に延びる階段やエレベーターに変わってしまう。

 そのため、気の持ち方も、変わってしまうようだ。