川崎フォトエッセイ  その116  野原    ←前 次→  HOME


 漠然とした野原が少なくなった。野原とは文字通り草が生えている原っぱのことだが、そんな大らかな風景は滅多にない。

 確かに野原は存在するが、それは深刻な土地問題が裏にあったりして、決してのどかな風景ではない。まあ、子供の頃はそんなことなど知らずに、ただの空き地だと思って、遊び場にしていた。事情を知らないから「野原」と呼べたのかもしれない。

 本物の野原を満喫するには、やはり山へ行かないと駄目なようだ。でも、町中の野原に比べ、少し荒々しい。

 平地にある野原は、それほど広くはないので、自然を満喫できるわけではないが、程良い緑地空間が好ましかった。そこに生えている草も、いわゆる雑草で、誰かが植えたものではないだけに、自然な感じだった。

 最近は空き地もセイタカアワダチソウがびっしり生えているのを見ると、一寸違うか、と思ってしまう。しかし、子供の頃、それでチャンバラごっこの剣を作った。そう言う遊びは、もうしなくなったのだろうか。