川崎フォトエッセイ  その115  建物    ←前 次→  HOME


 建物に虚仮威されることがある。その建物の外観に用事があるのではなく、その中のオフィスなりに用事があって入るのだが、空間を仕切っているだけの外観が麻酔効果でもあるのか、プレッシャーを受けてしまう。
 まあ、時の権力者とかが建てた建物は、その意味で建てるのだから、その効果を受けても当然だろう。人は、見かけに弱いものである。
 虚仮威しを狙ったその種の象徴性の高い建物は、そのなかに居る人にまで作用するようである。
 入りやすい建物と、入りにくい建物がある。前者は、油断とか隙のある建物で、後者は隙を見せない建物だ。つまり取り付く島のないような建物は、馴染みにくく、親しみにくいため、突き放されてしまうのだ。
 当然、その建物の使用目的によって、それにふさわしい外観であるほうが自然なのだが、やりすぎると過剰防衛、または過剰攻撃のように感じてしまう。
 建物のテンションは、低いほうがいい。